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「 では、近くのコンビニまで。 」
太宰「 矢張り家までは駄目でしたか。 」
顔では笑いながらも残念、と云ったように肩を落とす。
然し当然だろう。
マフィアの領地に、ましてや幹部の家にみすみす探偵社社員を連れていく程Aは世間知らずではない。
「 またお茶でもしましょうね。 」
太宰「 ふたりで、 」
「 皆さんと。 」
ちぇー、と不服そうな顔をするも確り此方に傘を指してくれる太宰にAの頬は自然と緩む。
まるで子供みたいだ、何て。
「 あぁ、そこのコンビニでお願いします。 」
太宰「 はぁい。 」
さり気なくこちらに寄せられた傘。
他者から見れば之はただの相合傘、と云うものだろう。
でもAはそんなこと気にならなくて、否、気付いていなくて。
太宰の肩が濡れていることだけが気がかりでしかなかった。
重たい買い物袋も片方は太宰が持っている。
どうしてここまで良くしてくれるのだろう、なんて疑問に思うのだ。
「 今日は、有難うございました。 」
自然と口から漏れたその言葉。
太宰からみたAの横顔は、今日のどの笑顔よりも笑っていたと言う。
太宰「 … またおいで。 」
「 えぇ、是非。 」
まぁ中也が許してくれるわけないですけど、何て続ける太宰に微笑み返すA。
____ ん ? 中 也 ?
「 あ" 」
太宰「 どうしました? 」
Aは咄嗟に携帯を見る。
探偵社を出てからここまで思いのほかゆっくり来てしまった。
Aの顔は見る見るうちに青ざめていき、太宰も大体の察しがついた。
「 どうし、 」
_ 「 あァ、こンな所に居たのか。 」
声にならない悲鳴をあげるA。
太宰はやれやれ、と肩を落とすのであった。
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まりな - 面白かったです!これからも頑張ってください! (2018年1月27日 11時) (レス) id: 432d65a945 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸水素なとりうむ(プロフ) - 凄く続きが気になります!!更新ファイトです! (2017年12月24日 2時) (レス) id: aeb5ce3320 (このIDを非表示/違反報告)
毛糸 - 第一次反抗期戦争の方からきました!! とても面白かったです!!これからも更新頑張ってください!( ´∀`) (2017年12月9日 19時) (レス) id: 1ec397df0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カスミ | 作成日時:2017年12月7日 19時