検索窓
今日:4 hit、昨日:19 hit、合計:166,309 hit

72 ページ25

*




学院近くの喫茶店
私がどこかに逃げるとでも思っているのかここに来るまでずっと腕を離してはくれない


「アイスコーヒー1つ、Aは?」
「……ミルクティー」


この間行ったコーヒー店では英語で注文して店員さんを困らせてたくせに。ここでは普通に注文出来るのね、なんて現実逃避




『っもうそろそろ離してくれてもいいんじゃないかしら』


「やぁだよ、逃げられるとかごめんだね」




逃げるなんてそんなことしないのに



『随分と信用を失ったものね』



そう自嘲気味に呟けば、渋々と手を引っ込められる




ミルクティーをちまちまとすすりながらちらっと顔を上げる
アイスコーヒーには手をつけず、頬杖をついてこちらを真っ直ぐ見つめる
グラスについた水滴が落ちる
何も言わなければ永遠にこの時間が続きそうだ




いたたまれなくなって無理やりに言葉を紡いだ







『それで?どういう要件かしら』







天祥院英智の婚約者だってことを隠してたこと?と続けると、零の顔は苦しげに歪む
違う、本当は、そんな顔をさせたいんじゃない


ああ、馬鹿な私は大切な人を傷つけることしかできないのね






「Aは今、俺の事どう思ってる?」






切なげな瞳

決して手に入らないものを見つめる、幼子のような目





好きだよ、大好き
私がそう言える人であればよかったのに
私は臆病だから、俯くしかできない





「俺は、好きだよ」






頬に手を添えられ、愛おしげに、大切そうに撫でられる
冷たいのに、擦り寄って甘えてしまいたくなる大きな手




それを私は一度振りほどいたのに、
どうしてこんなに優しくしてくれるの








*

73→←71



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (145 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
325人がお気に入り
設定タグ:あんスタ , 朔間零   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆゆちゃん(プロフ) - 夜桜 奏さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます!更新早いのがだけが取り柄なので頑張りますっ笑 (2019年9月13日 22時) (レス) id: 7a2e201cbb (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 奏 - 健気すぎる夢主ちゃんに涙です…頻繁に更新して下さりありがとうございます!いつも楽しみにしています (2019年9月13日 21時) (レス) id: dd2c6bf5e1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆちゃん(プロフ) - 月見団子さん» ほんとですね、申し訳ありません!非公開外しておきました。。気をつけます! (2019年9月13日 17時) (レス) id: 7a2e201cbb (このIDを非表示/違反報告)
月見団子 - いつも楽しく読ませていただいております。えーと…『75話』が抜けてません? (2019年9月13日 17時) (携帯から) (レス) id: d5ccda77cf (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆちゃん(プロフ) - うみさん» そう言って貰えて嬉しいです!こちらこそありがとうございます! (2019年9月13日 2時) (レス) id: 7a2e201cbb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆゆちゃん | 作成日時:2019年9月11日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。