東京卍會の姉貴

マイキー ページ5

『なんでここにいんの…』

佐｢迎えに来た弟に対してヒデーんじゃねぇの｣



姉という設定が決まったあの日から数日後、5日と経たないうちに再び出会ったのは総長の彼。

校門前にイケメンが居ると騒がれてたのはお前か。



『佐野くん、君が放課後に来るようになったことは素晴らしい成長だよ。けどわざわざ日替わりで来なくていい。てか来んな』

佐｢俺がやりてぇからやってるだけだもん。あ、姉ちゃんたこ焼きある！｣

『そうやって誰かに毎回たかられるからだよ』



あれから東卍の誰かが毎日放課後に迎えに来るようになった。

東卍のメンバーと絡んでる事が割れてる以上、隣に彼らが居ると厄介事を避けられるから嬉しいんだけど。



佐｢ねーえ良いでしょ。腹減ったぁ｣

『…今回だけだからね』

佐｢やった。半分こしよ｣



毎回何かしら奢らされる。

それを分かってるのに毎回財布を持って家を出てしまうのは、こいつらが可愛いから。

私おかしくなったんだろうか。

ヒモを養う才能とかありそう。



『佐野くんはい』

佐｢マイキー｣

『ん？』



佐野くんがたこ焼きを受け取りながらそう言った。



佐｢佐野くんって他人行儀でしょ？マイキーって呼んで｣

『うん、マイキーね』

佐｢あーん｣

『あー…あっづぁ！！』

佐｢あははウケるー！｣



不意打ちあーんに疑問を持たずに口を開けたら、アッツアツをねじ込まれた。

熱すぎて涙が出てくる。

出すのは汚いしもったいないから、なんとか噛んで飲み込む。



『マイキー！』

佐｢ははっ、姉ちゃん馬鹿なの？｣

『もうマイキーには買わない』

佐｢許してお姉ちゃん｣

『その顔面使えば何でも許されると思ってんの？許すに決まってんでしょ』

佐｢チョッロ…｣



どうやら私はイケメンに弱いらしい。

代わる代わる迎えに来る東卍の彼らは揃いも揃って顔が良いやつらばっかり。

東京卍會じゃなくて顔面卍會に改名しろ。



『マイキーラスイチあげる』

佐｢いーの？あー｣

『ほい。じゃあ帰るよ』

佐｢…んー｣



ぴょこっと横に並ぶマイキー。

何やら機嫌が良さそうな顔してるけど、何かいい事あったのかな。

いや、たこ焼き奢らせて気分悪いとか言ったらぶっ飛ばすけどさ。






佐｢(…普通にあーん…根っからのお節介気質なんだろうな。ほんとに姉ちゃん出来たみてぇ)｣



エマにも紹介してやろ、とAの訝しげな顔も気にせず、彼は軽い足取りで帰っていた。

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