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「本条さん?髪の毛、昨日と違うけど、どうしたの?」
教室で鞄の整理をしていると、髪について聞かれた。
「あぁ、おはよう!藤岡さん。アドバイスを受けて、ヘアアイロンやめたの。
それと、ポニーテールにした。あと結び目にリボンも」
馨君のアドバイスのまんまにした髪を藤岡さんに揺らして見せた。
すると、藤岡さんは胸を撫で下ろす。
「本条さんがぐれちゃったのかと思ったよ。すっごい真面目そうな感じだったからさ」
真面目…?
「あ、私藤岡さんにそんなふうに見られてたの…?」
「もしかして、いやだった…?それならごめん」
「ううん!全然いいんだけど、私今まで学校に全然通えてなかったから、友達いなくて…。
みんなの私に対するイメージとか、やなイメージ持たれてたら嫌だなって」
私がそういうと、藤岡さんは「嫌なイメージなんて、そんな!」とパタパタ手を振る。
「本条さんは勉強も音楽も両立してる人だって、
みんな本条さんとの間に溝ができてる、みたいな…。」
うそっ!そんなこと思われてたなんて…
「…だから私あんまり入学してからも友達ができないんじゃ…」
肩を下げて少し落ち込みモードにはいると、藤岡さんは必死にフォローをしてくれた。
「いや!因みに悪い溝とかじゃないよ!本条さんって毎日のように演奏会とか予定とかがあって、
忙しそうだし、たまにすっごい眠そうにしてるから、夜中までそういう都合があったなら
ゆっくりさせてあげないとなーみたいな…。」
「そうなの…!?じゃ、じゃあみんなにもっと関わってーって、いうべきかな…?」
「それは、よくわからないけど…」
「じゃ、じゃあ…!」
私がそう言って、藤岡さんの方に身を乗り出すと、後ろから誰かに髪を引っ張られた。
「いたっ…!」
「俺らに告白したと思ったら、地味岡君に目移りですかぁ?
しかも馨のいうまんまイメチェンしちゃってさ。誰が好きなのかハッキリできないわけ?」
「光…!やめなよ!」
常陸院光君だった。髪を引っ張った彼は、更に私が髪の結び目につけていたリボンを、
ほどいてポイッとゴミ箱に捨ててしまった。
「ごめんなさい、気に触ることしましたか…?」
「あー、したよ。気に触ること。逆になんでわかんないわけ?マジ気持ち悪いんだよ!」
「光ってば…!!」
光君は馨君に止められて、どうにか落ち着いたけど私の髪はぐちゃぐちゃ、
リボンを捨てられてしまったから髪も結べないし、呆然。
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作者名:卣秦 | 作成日時:2019年10月23日 18時