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ダーン


ピアノを叩きつける、否、鍵盤に指を叩きつけるように演奏する。

私のピアノ演奏は強弱の付け方や一つの音をハッキリさせた弾き方が売り。

思い切り気持ちよくピアノを弾けるのは久しぶりで、少し嬉しくなる。

間違えても遠慮なしで指を滑らすようにピアニッシモで一小節を奏で、

次の一小節でフォルテッシモに強弱をグルリと変える。

私はピアノはあんまり得意じゃない。得意なのはバイオリンだけど、

ピアノはバイオリンより弾いていてスッキリする。


最後の一音。終わった瞬間、椅子から自分で転げ落ちて大の字で床に寝そべり息を吐く。


「終わった。これで踏ん切りついたー」


振られた、それ一心でピアノを弾いて終わってみたら肩の力がすっかり抜けて、

のーんびりしてて、全く自分の立場なんて気にせずに寝返りをうったところだった。

ドアの方向に寝返りをすると、ホスト部一同がそこにいた。


「ひょ!?」


聞かれた。聞かれてた。聞かれてしまった。

慌てて起き上がって髪や服を整えるけど、ホスト部の人が気になるのはそっちじゃないらしい。


「お前、まじですごいね。今日ので痛感したよ」

「バイオリンじゃなくてピアノもできるのかー」

「本条さんは是非この僕と連弾を…!」

「素晴らしい腕前だった」

「Aちゃん!音楽名家の娘の名は伊達じゃないねぇ〜!」

「…すごかった」

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作者名:卣秦 | 作成日時:2019年10月23日 18時

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