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「A、来なよ。話し終わったからさ。クッキーでもどう?」


僕がそう誘うと、Aはよろこんで腰掛けていたイスから立ち上がった。


「たべる!馨も一緒に食べようよ」


Aは離れていたところにいた馨の手を引っ張って、藤岡のいるソファに連れて行く。

その馨はソファに座ると、「藤岡君ってAが好きなの?」とか聞きだす。

そんな発言にAは笑った。


「藤岡さんと話した友達だもん、友達って好き同士がなるんでしょ?

じゃあ私のこと好きだよ!私も藤岡さんのこと好き!」


この子はだいぶん型破れだな…。

藤岡も思わずため息をつきたそうな顔をするけど、説明に入った。


「あのね本条さん。友達だからって一概には好き同士じゃないんだよ。」

「え?じゃ、じゃあ藤岡さんは私のこと好きじゃないのか…。ごめんなさい」

「いや、違うよ!別に私が本条さんを嫌いなわけじゃないからね!」


人と関わってきたら誰にでもわかる「普通」がないのは、なんとなく可哀想に見えてしまう。

これから何を与えればいいのか、与えるべきものが多すぎてわかりやすすぎる。


「僕は、Aにたくさん友達ができて欲しいと思うんだ。

だから藤岡とか変わって文句なんてもう言わないからさ、友達100人できるかな?」



_____________


「あなた、馨君‥だっけ?」

「そうだけど。」


幼い頃の僕らはすごい未熟でひねくれや、独占力も強かった。

僕らの誕生日パーティーでバイオリンを弾いた彼女を、

光は必死に引き留めようとしていたほどだから。

でも、光は僕が見たところ成長しているらしかった。

Aに実際は友達なんて作ったら、自分に構ってもらえなくなるかもとか、

興味のあるおもちゃがとられるかもとか、そんなことばっかり考えてただろうに、

「友達100人できるかな?」なんて。


「Aは僕らの「いい機会」だよ。」

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作者名:卣秦 | 作成日時:2019年10月23日 18時

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