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「A、来なよ。話し終わったからさ。クッキーでもどう?」
僕がそう誘うと、Aはよろこんで腰掛けていたイスから立ち上がった。
「たべる!馨も一緒に食べようよ」
Aは離れていたところにいた馨の手を引っ張って、藤岡のいるソファに連れて行く。
その馨はソファに座ると、「藤岡君ってAが好きなの?」とか聞きだす。
そんな発言にAは笑った。
「藤岡さんと話した友達だもん、友達って好き同士がなるんでしょ?
じゃあ私のこと好きだよ!私も藤岡さんのこと好き!」
この子はだいぶん型破れだな…。
藤岡も思わずため息をつきたそうな顔をするけど、説明に入った。
「あのね本条さん。友達だからって一概には好き同士じゃないんだよ。」
「え?じゃ、じゃあ藤岡さんは私のこと好きじゃないのか…。ごめんなさい」
「いや、違うよ!別に私が本条さんを嫌いなわけじゃないからね!」
人と関わってきたら誰にでもわかる「普通」がないのは、なんとなく可哀想に見えてしまう。
これから何を与えればいいのか、与えるべきものが多すぎてわかりやすすぎる。
「僕は、Aにたくさん友達ができて欲しいと思うんだ。
だから藤岡とか変わって文句なんてもう言わないからさ、友達100人できるかな?」
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「あなた、馨君‥だっけ?」
「そうだけど。」
幼い頃の僕らはすごい未熟でひねくれや、独占力も強かった。
僕らの誕生日パーティーでバイオリンを弾いた彼女を、
光は必死に引き留めようとしていたほどだから。
でも、光は僕が見たところ成長しているらしかった。
Aに実際は友達なんて作ったら、自分に構ってもらえなくなるかもとか、
興味のあるおもちゃがとられるかもとか、そんなことばっかり考えてただろうに、
「友達100人できるかな?」なんて。
「Aは僕らの「いい機会」だよ。」
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作者名:卣秦 | 作成日時:2019年10月23日 18時