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「ねえ。一人ぼっちでしょ?こっちで一緒に遊ぼうよ。」


幼い頃の私は、音楽づけで誰かに遊びに誘われたことなんてなかった。

だからこそ、この誘いはすごい嬉しいものだった。


「…!うん!あそ」

「A。あなたに暇なんてないのよ。

帰ったら今日の演奏を反省して練習に励みなさい。」


私を遮るように現れたお母さんは、私の腕を強くひいて無理矢理車に乗せた。


「ごめんね、_君。Aは_君と違ってまだまだ勉強も運動も音楽もできないの。

だから帰って練習させないと。お誕生日おめでとう。もうおばさんたちは帰るわね。」


私のことをそんなふうに言って、酷い評価をするのは、高望みだからだ。

私はきちんと練習だってして、頑張っているのにもかかわらず、母はいつもこうだった。

でも、その男の子はこう言った。


「_は僕より算数苦手だけど、少なくとも僕は兄弟とか家族に

そんなひどいこと本気で言ったりしない。本当に家族なの?」


男の子にそう言われると、お母さんは一瞬黙った。

でも、さも当たり前かのようにその事実を話すんだ。


「…いいえ、実は血の繋がりはないわ。養子、あの子は義理の娘よ」


そう、義理。血の繋がりがない。お腹に赤ちゃんがいるのにもかかわらず、

忙しいスケジュールを組んで、休まずにいろんな仕事に勤めた。

妊娠中のくせに仕事を優先して激しく動き回ったせいで、

赤ちゃんがお腹の中で亡くなった。

それがショックで精神的な問題で赤ちゃんが産めなくなったから、

あの人は私を孤児院から引き取った。これは紛れもない事実。


思わず私は苦しい顔をしてしまった。でも、男の子はズバッと言った


「じゃあ、あの子ちょうだいよ。血の繋がりがないとか関係なく家族でしょ?

大切にしてあげないなら_も僕もあの子のこと全然欲しいし、

あの子のバイオリンの演奏。僕も_もすごい気に入ったからさ。

大切にできないなら、別に僕らにくれてもいいでしょ。」


お母さんはその言葉を聞いて酷く顔を歪ませた。


「_君。もう私たちは帰るから、あなたは_君のところにでも行ったらどう?

じゃあね」


そういってさっさと車に乗り込んで、お母さんはイライラしながら私と家に帰った。


あの男の子の名前なんてもう覚えてない。顔も覚えてない。

でも、助けられた。私が欲しいって、

私のバイオリンの演奏が気に入ったって言ってくれたから、

きっと私は今もバイオリンが続けられている。あの男の子は恩人だ。

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作者名:卣秦 | 作成日時:2019年10月23日 18時

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