(13) ページ14
・
「どっちが光君でしょうか?」。そう書かれた紙を
帽子をかぶって黙っている二人に見せられる。
正直全然見分けがつかない。オーラとか見えるわけでもないし、
自分に観察力があるわけでもないから尚更。二人とも瓜二つだもんな。
でも、私は得策を思いついた。
「馨君が優しくて、光君が意地悪な方だよね」
そう二人に聞こえるように言った。すると、一人、少し顔がにやけて、
一人は顔をムッとさせた。
左側の常陸院君がニヤけたから、右がムッとしたから光君か。
私は確信して答えた
「右が光君」
「ププッ。本条Aさんたら、いい性格してるぽいね。炙り出しかぁ〜」
馨君がそうやって笑う一方
「いじわるなほうとか失礼だな!」
光君は怒ってた
「冗談だよ。見た目だけじゃ判別つかなかったから言っただけ」
「冗談って…、お前本当に俺のこと好きなの?絶対嘘じゃん!」
「好きだよ。その意地悪な性格もひっくるめて」
私がそう言って笑うと、プイッと私とは逆の向きを向いてしまう。
「もういいから、本条Aさんはピアノでも弾いてくれば」
「うん?わかった」
私が返事してピアノのところに向かおうとすると、馨君に腕を掴まれた。
「あのさ名前、呼び捨てしていいかな?おんなじ部活の仲間だしさ。
僕のことも馨って呼んでいいから」
「そっか、確かに私の事フルネームで呼んでたよね、
全然呼び捨てしたもらっていいよ。私も馨君のこと馨って呼ぶね」
「あらためてよろしくね、A」
私はそれだけ話を済ませると、ピアノの方にいって、
椅子に腰掛けたところで思い出した。
そういえば光君も私の事フルネームで…。
「ね、光君」
私が振り返って名前を呼ぶと、光君は顔が赤かった。
「え?ごめん熱だった?」
「は?」
「ちがう?あ、ここの部屋ちょっと暑いかもね!」
「うん?」
なんか私、今トンチンカンなこと言ってる気がする。
「あーー、えっと。とりあえず言いたいことは、光君も
フルネームで私のこと呼んでたから、馨が呼び捨てすることになったし、
光君も呼び捨てしたらどうかなっていうことで」
私はごちゃごちゃになった言葉を整理して光君にそう聞くと、
「じゃあ、僕も呼び捨てで呼ぶよ。」と言ったので、
「改めてよろしくね。光君」というと、「僕のことも呼び捨てで呼んでいいよ」と
許可をもらった。そうして、またまた思い出した。
「馨!制服ってどうなったんだっけ?」
73人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:卣秦 | 作成日時:2019年10月23日 18時