31.あの日のこと ページ32
日「確かにあの日の事は、私たちにとって忘れなれない事ですよ。驚いてあんな事を言ったりもしました。
けれど、だからといってあなたを恨むなんて事はありません」
『……でも、』
日「英智によるーーーあなた達によるあの革命があったから、私は今ここにいて、新しい道を歩めてるんですよ」
朗らかに、渉は笑ってそう言って。
日「何もあなたを恨むなんて事はないんです。それにあなたも幼馴染みを助けたかったのでしょう?」
そう。渉の言う通りだ。
私はあの日、革命を起こそうとしていた当時のfineに頼んだのだ。
なずなを助けてくれと。彼の歌を届けたいと。
天祥院はその時、助けてやる見返りに曲を欲した。
私はなずなを解放してやれるならばと何も考えず曲を渡し、そして絶望したんだ。
あの時、確かになずなは解放された。
けれども代わりに、当時の五奇人と呼ばれた私と仲の良かった“彼ら”は私の作った曲で破滅した。
そして彼らは気づいていた。あの時のfineが使った曲が、誰が作ったものなのか。
彼らの言葉が今も耳をついて離れない。
だからあの時以来、彼らと会うことを避けた。
セリエとして、曲を作る事もやめた。否、曲を作れなくなってしまった。
私が作った曲でまた誰かを傷つけたら嫌だったから……。
アイドル達とも関わる事をやめ、そうして今まで過ごしてきた。
『……私が貴方達を傷付けたことに変わりはない。気休めなんていらないよ』
日「いいえ、気休めなどではないですよ。……少なくとも私は今でも、あなたの事を大切に思ってます」
そう言った彼は、私のよく知る日々樹渉で。
日「私は昔も今も変わらずセリエの事も、歌もとても好きですよ」
彼のそんな言葉に、私は涙が出た。
507人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:松並ゆの | 作成日時:2018年4月11日 19時