殺意 ページ13
あぁ…怖い、怖い…実験なんてくそくらえだ。
…＿＿…
不用意に過去を思い出したせいで…殺意が。
＿＿殺したい
いけない、抑えないと…我慢しないと…！
＿＿殺しタい＿殺シタい＿＿
また…沙奈華たちに…迷惑、を……
＿＿殺シタイ＿＿殺サネバ＿＿
あんなの……ボクの、意思じゃ…ないのに！
＿＿マスターノ、為ニ＿＿
あぁ…お願い、収まって…
＿＿血ヲ、集メナケレバ
嫌だ、嫌だ…
＿＿紅イ華ヲ＿咲カセナケレバ
無理だ…抑え切れ、ない…
殺
シ
タ
イ
アハ、アハハハハハハ！
殺ス、殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス！！！
頭の中はそれで埋め尽くされた。
何も考えられない、考えたくない。
「やめなさい！ライ！！」
誰かの、声が響いた。
☆ ☆ ☆
沙奈華side
ライは、おかしかった。
狂っている。
1人で、涙を流しながら笑みを浮かべて…こちらを見ると、一度だけ
「たすけて」
と口を動かした………ように、見えた。
そして…
「マスター…」
と呟くと、人里の方向へ駆けて行った。
追いかけなければ…このままだと、里に甚大な被害が…
人里の方向へ走った…
人が来る。…隠れなければ。
とっさに山の方へ逃げる。
人里が木々の隙間から見える。
人里…か……怖い、な…
過去がフラッシュバックする。
『化け物は死ねよ』
『てめーみたいなのは、要らねーんだから』
こんなの、思い返してる場合じゃないのに。
私より、ライの方が…辛い過去があるのに。
こんなんで、逃げてちゃだめだ…
足が震える。
前に踏み出したいのに勝手に後退してしまう。
私が、負けたら…だめだ。
ライの方がよっぽど辛い。
人里に甚大な被害が出る。
止めなくちゃ、いけない。
でも…人は、人里は怖い。
あぁ…誰か、背中を押してください。
一歩でも前に踏み出せたなら、そのまま走れるはずなんだ。
女性の悲鳴、男性の怒号、混乱の幕開け。
人々の断末魔が響き渡る。
遅かった、私がビビっていたから。
きっと、助けられた。防げたのに！！！
どうしよう、どうしよう…私まで暴走してしまえば、それこそ終わりだ…
あぁ、神様……今だけ、どうか…助けてください。
お願いします…今だけで、いいから…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
