【文スト】月下の桜は今日も微笑む

37枚目 ページ39

キィ、とドアの軋む音。
『おはようございまーす』
「あ、桜ちゃん、おはよう。あのさ、今皆で話していたのだけど…」


話の内容は、太宰さんが行方不明ということらしい。
情報伝わるの速すぎでしょ、探偵社怖い。


敦君曰わく、電話も繋がらなければ下宿にも帰っていないらしい。
そういえば私、電話かけてなかったな。


「また川だろ」
「また土中では？」
「また拘置所でしょ」


滅茶苦茶だなぁ…(遠い目)


敦君も似たような顔をしている。苦労人だなぁ


「…しかし先日の一件もありますし…」
暗殺されたのでは、とさらっと云う敦君。まじか。


きっとあの後で暗殺されたんだったらロリに手を出した罰だな。うん。
だが国木田さんに阿呆かと云われている。彼曰わく
「己自身が殺せん奴をマフィア如きが殺せるものか」
だと。



マフィア如きって…マフィア出身者此処に居るんだけどな。まぁいいか。
それでも食い下がる敦君の元に救世主が。


「ボクが調べておくよ」
「谷崎さん無事でしたか！」


おお、与謝野先生の治療の賜物らしい。すごい、美人さんパワー…


「マズいと思ったらすぐ逃げる危機察知能力だね、例えば……今から十秒後」
「？」


危機察知能力の話をしているのに逃げない敦君勇者か。
私は取り敢えず観葉植物のところに隠れている(つもり)


いざとなれば応戦できるから逃げる必要は無いんだよね。


「ふァ〜〜あ。寝すぎちまったよ」
危機察知能力が与謝野先生…？まぁ危ないなら出ない方が良いし
与謝野先生には勝てないな…(確信)


ということで敦君と話をしている間にこっそり気配を消して机の下に移動する。
「ところで誰かに買出しの荷持を頼もうと思ったンだけど……アンタしか居ないようだねェ」
あーあ、敦君頑張って。


「え！？」
慌てて振り向くも其処に社員の皆の姿は無く。
やっと気付いたか、危機察知能力に。

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