【カゲプロ】 初代【冴える】 と 現役【冴える】~Part4~

154章　　今から放つ、俺らしくない“言葉”　　クロハside ページ21

A「ｽｰ･･･ｽｰ･･･」


クロ「ｸｽｯ可愛いなぁ・・・」


　


俺の腕の中で、気持ちよさそうに眠るA


Aの顔にかかっていた前髪をはらい、耳にかけてやると、はっきり寝顔が見える


顔色も良いようだし、もう大丈夫だろう


Aが願いを要求してきたときは、冷や冷やした


消えてしまうんじゃないかと、そんな不安と恐怖で胸がいっぱいだ


俺は忘れていたんだ。Aと一緒に、普通の日常をおくっていたことで


Aが【冴える】であることを、忘れていた


・・・【冴える】蛇は、哀れな蛇だ


自分が消滅しないために、誰かの願いを叶え続けなければならない


Aのように、誰の願いでも叶えられる蛇ならば、簡単に相手の願いを断ることができる


だが俺のような蛇は、宿主の願いしか叶えられないがために、どんな嫌な願いでも叶えてやらなければならない


今では能力のないただの蛇だから、そんな心配は必要なくなったが・・・



　


　






　
クロ「・・・なぁA、俺は怖かったよ、自分が消えてしまうことが






宿主の願いしか叶えられない【失敗作】に生まれたことが、憎(にく)かった






だがな、お前に会って、お前に恋をして、俺の気持ちは一気に変わった。なぜだと思う?」



　



　



　
Aの頬を優しく包み込み、俺はAの額と自分の額をコツンとあわせた





【あの日】から、自分が消えてしまうことに恐怖を感じなくなった





そして【失敗作】に生まれたことを、憎むどころか嬉しく思った



　

それは何故だと思う？



　
　




　







　



　



　



　




　




　



　


　


　


　


　



　





　

―――・・・その【失敗作】がAじゃなく俺で良かったと、心から安心したからだ」


　



　



　




【あの日】お前が俺に言ってくれた





“生きることを諦めるな”





あの時からだ、俺の中で全てが変わったのは




　
俺は敵で、仇なのに、Aは俺のために涙を流して、その言葉を俺にくれた


　


嬉しかった、初めて俺は、心から自分を想ってくれる人を見つけた


　



今から俺が言うのは、俺らしくない“言葉”




　

この先一生聴けねぇから、ちゃんとその耳で聞いとけよ






俺はAの耳元に口を近づけ、その言葉を放った
　




　





　


　



　



　


　








　



　



　



　


　








　







“俺を愛してくれて、ありがとう”

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