第74話 ページ27
主人公side
客が一人も居ない、喫茶店【シナモン】のいつもの席でコーヒーを飲んでいた。
そういや最近喧嘩しなくなったな、なんてことを物思いに耽っていた。
まぁ、桜乃ちゃんと付き合ってから、そういう奴らがいる様な場所に足を向けることもなければ、喧嘩をふっかけられる事もない。
煙草と授業態度と出席率以外は割とまともなんじゃないか、そんな風にぼんやりと考えていた時だ。
煙草の灰を灰皿に落とすのと同時に、軽快なドアベルと共に一人分の靴音と途切れる事なく鳴るスマホの通知音が俺の方へと近付いてくる。
「やっぱりここにいた」
そう言って「ここ座っていい？」と俺の返事も聞かずに向かいのソファへと座った男は、いつもの様に鳴り続ける通知音を気にする事なく笑っていた。
笑ってはいる。だが、その笑みはいつものように何を考えているか分からない笑みよりも、焦りを誤魔化すように浮かべているようだった。
「何の用だよ。つか、通知音いい加減うるせぇな」
「まぁ、用って言ったら用なんだけど。その前に聞きたい事があるんだ。Aは俺が今付き合っている子の名前知ってる？」
「は？」
「今はマリちゃんとミーナちゃんとキョウカちゃん。三人ともそれぞれ良い所があってさぁ。マリちゃんは気立てがいいし、ミーナちゃんは素直、キョウカちゃんは情報通。それに三人ともお洒落で綺麗で可愛い」
焦っている割に、西は聞いてないことをペラペラと口にするから気のせいだったかと聞き流していると、そういやあの女の名前がない事に気付いて「あの女は？」そう口にしていた。
つい二ヶ月前に付き合ったとか言ってたよな？
「ミレイちゃんね……、浮気されちゃったから別れちゃった」
「はぁ？」
「相手が相手でさ。……で、ここからが本題」
変に真面目な顔をしたかと思いきや、西のスマホから通知音じゃなく着信音が鳴り出した。
通知音はよく鳴っているが珍しく鳴る着信音に、西はスマホの画面を確認して音を消す。
「怒らないって約束してくれない？」
「なんだそれ」
「この間食らった乙女ちゃんの拳も重かったけど、Aの本気の拳じゃ俺の綺麗な顔ぐちゃぐちゃになっちゃいそうだからさ」
小さく笑った西は小首を傾げながら口にした。
「実は、無関係っつーか、Aに気に入られてる時点で無関係じゃないんだけど、そのサクノちゃんを巻き込んじゃった」
と。
西のその言葉に、俺は思わず拳を振り翳していた。
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バンビ(プロフ) - 真理さん» 現在更新のペースがかなりゆっくりになってしまっていますが、時間を見つけて更新をしていきますので、今後ともよろしくお願い致します。 (1月25日 23時) (
レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
真理 - バンビさん» 続きまだですか？ (1月24日 7時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - リコさん» ありがとうございます。今後も楽しみにして頂ける様に更新していきます。 (2021年7月18日 11時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
リコ(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！ (2021年5月9日 6時) (レス) id: 8b5e530447 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - 紗衣さん» ありがとうございます。非常にゆっくりな更新になっていますが、楽しみにして頂ける様に頑張ります。 (2021年4月10日 0時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バンビ | 作成日時：2020年9月4日 12時
