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「……刺青、か?」
「違う。一応、痣なんだよね。魔女が“証”だって言ってたかな?」
痣と言うには余りにも綺麗にくっきりと浮かび上がって、まるで刺青の様なそれは、ハートを象った複雑な模様が真っ白な首筋を彩っていた。宛ら、“魔女の口付け”と言った所だ。成る程、魔女の証とはよく言ったものだ。
メルヴィンはすぐに服を整えた後に、「変態!」と生娘宜しくな声を上げるが、ロベルティーネがナイフを真顔で構え出したのを見て、彼はすぐに頭を下げた。揶揄う相手は間違えない方が良い、その全てが此処に集約され瞬間だったに違いない。
話を戻すが、どうやらメルヴィンは呪いを掛けられたのは本当だと証明したかったらしいが、馬鹿みたいな一言で台無しだ。緊張感がなさ過ぎて気が滅入る、と言わんばかりに彼女は溜め息を漏らす。
「はいはい、取り敢えず呪いは本当だとして、呪いを解くには魔女の所に行くしかないんだろ? だったら、なんかその魔女の特徴とか無いのか?」
「探してくれるの!」
「仕方ないだろ。依頼を受けたからには、協力はする。お前とさっさとおさらばしたい所だし。第一、魔女なんて本当に居るのか?」
「辛辣だなぁ。でも、魔女は居るよ。俺は呪いまで掛けられたんだから」
自慢出来ねぇよ、とロベルティーネは内心で突っ込んだ。そんな事で自慢されてもピンと来ないし、羨ましくも何ともなかった。
魔女と言えば、此処ヨーロッパ全域では有名な話で、超自然的な力で人に害を及ぼすと存在──超自然的な力とは何なのか分からないので、果たしてその力を操る人間この世に居るとは思えないが──と言われている。18世紀では魔女狩りなる物もあったらしいが、そんな一世紀前の話を持ち出されても迷惑である。最近では無害な魔女も居る話も時々聞くが、メルヴィンの言う魔女──だが、その魔女はまず彼に害を成している時点で、無害な魔女とは到底良い切れない──とは一切関係が無い。
彼は少し考える素振りをすると、すぐに明るい声で話し出す。
「その魔女はなんか、伯爵夫人みたいなドレスを着てた。紫色のドレスだったかな、ヒラヒラしてて日傘を差してたっけ」
「ざっくりとした特徴な上に、伯爵夫人だけならこの世に五万とは行かずとも、結構居るぞ」
「兎に角、綺麗な人だったよ」
「それはもう、芯から凍える様な美しさ」と例えるメルヴィンを尻目に、ロベルティーネは長椅子の背凭れに肘をつきながら、何となく魔女の容姿を連想させる。
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十二月三十一日(プロフ) - づみさん» 有難う御座います。読んで頂き光栄です。更新頑張りますので、今後共宜しくお願いします。 (2018年3月3日 2時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
づみ(プロフ) - お話がとても好きです、更新たのしみにしています。頑張ってください〜 (2018年3月2日 16時) (レス) id: 688586594f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十二月三十一日 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月18日 21時