Magic hour*

＊転機2　【翔】 ページ17

智「もう・・・来るなら連絡してくれたらよかったのに！」



翔「・・・。」



智「はい、コーヒー♪」



翔「・・・。」



智「どしたの？何かあった・・・？」



翔「智くん・・・」



智「ん？」



翔「俺会社クビになった・・・」



智「え！？！？」



最初は誰にも話すつもりなんて無かったのになんだか智くんの雰囲気のせいか知らず知らずのうちに打ち明けていた。



智「・・・ん、そっか。」



彼はそう言い残し、店の奥へ消えていった。





翔「・・・。」


翔「はぁ・・・」



もう今日何度目か分からないため息をついていると智くんがカウンターに戻ってきた。



智「はい、カフェオレ。コーヒーより甘くてほっとするよ？」



翔「ありがと・・・」



一口飲むと智くんの言った通り、程よい甘さが口の中に広がり、なんだか落ち着いた。





翔「ねぇ、智くん、俺・・・どうしたらいいのかな・・・？」



智「翔くんってさ、サプライズに弱いよね。」



なんだか俺の問いの答えになっているのかよく分からないが、いきなりそう言いだした。



智「おいらはさ、なんか・・・例え翔くんと同じになったとしても、あはは〜おいら会社クビになったのか〜とか言ってそうだけど笑、翔くんはなんか・・・もうどうしたらいいか分かんないって感じじゃん！？」



翔「・・・。」



俺は黙って智くんの言葉を聞く。



智「ちゃんと将来のこととか全部考えて、人生設計とか立ててるんでしょ？だからそれが狂っちゃったからどうしたらいいか分かんなくなっちゃってるんでしょ？」



智くんは俺に問いかける。



智「もうちょっと気楽に生きようよ！毎日が楽しかったらそれでいいじゃんっ！？おいらはそういう生き方が好き。だからさ・・・しょーくん・・・おいらと一緒にパン屋やんない？」



翔「え・・・？」



智「結構お客さんも来てくれるって分かったし、そろそろ一人じゃ辛いな〜って思って誰か雇おうと思ってたんだよ。おいらも翔くんと一緒にいれるなら嬉しいし、どう？」



翔「えっと・・・」



智「まぁ今すぐに答え出さなくてもいいからまた聞かせてよ！」



翔「うん、分かった・・・」



智「んふふ」





戸惑う俺をよそに智くんは鼻歌を歌いながらまた店の奥へと消えていった。

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