異能者×異能者【文スト×カゲプロ】

全ての始まり ページ1

晴天。
今日もなにもない様な、云わば退屈に近い平凡な日で在る。
「 ふぅ………今日はいい天気じゃの………特に任務も会議も無い故…暇じゃ」
空を見上げゆっくり街なかを歩き、少し疲れたらしく公園のベンチで休もうと座った者が居た。
「え…ホント此処、何処なの…？誰か知ってる人居ないの…？」
私はいつの間にか私の知らない場所に居た。東京にこんは場所はなかった筈だ。風が潮っぽい事から港街であろう事を推測する。私の身体、どんな処に…。今の私には行くあてもなくふらふらとするしかなかった。
「 ………ん？其処の童女、大丈夫かえ？」少し覚束ない足取りで歩く少女を見かければ声をかけてみる。冗談でも云って遣ろう。
「この日差しにやられてしまったかの？」
「え？、ぁ、はい…、?」
誰だこの人。て云うか言葉遣い凄…。着物だし…未だ居るんだこんな人…。一瞬、脳内を「京都」と云う単語がよぎったが気付かなかった事にしよう。…そんな現実、出来れば見たくない。先刻、「はい」とは云ったものの実際は大丈夫とは程遠い状況に陥って居る。後者のからかいであろう問に「そうですかね〜…」なんて適当に答えた。そうだったらこんなに苦労して居ないだろう。
「 フフッ、ひょっとすると……“迷子"、かの？？」
そう言い袖口を口に持って行きクスクスと笑えば。「しょうがない、わっちが案内してやろう………お主、名前は？」
と日傘を差し直しながら問う。

……これが全ての始まりだったんだ……

尾崎紅葉 榎本貴音

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