私の命を助けてくれた人はとある騎士でした (ページ8)

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油断してたページ8

予鈴のチャイムギリギリで教室に入った

私が入ると決まって私をいじめる奴らに鋭い視線を向けられる

あぁ…まだ収まってなかった

でも、ここで落ち込んでいたら話にならないと自分に言い聞かせ、席に着く

2週間前に折角消した机の落書きがまた更新されていた

そこには、

「鬱陶しい」「キモい」「死ね」

などの典型的ないじめ文句がギッシリと書かれていた

こいつら語彙力無さすぎでしょ

一緒のことしか書けないのかよ

……これくらいの反抗心がないと自我を保つことすら危うい

きっと昔の私なら泣いているだろう

でも、父の虐待といい、いじめといい

同じことばかりされて正直もう泣かなくなった

それとも、悲しすぎて涙すら出ないのだろうか

しかし、今日の私は一味違う

泉さんに少しでも相談出来たことと、励ましてくれた事で私の心は少しだけ強くなっていた

「何かあったら、すぐ俺に連絡しなよねぇ」

そんな暖かくて優しいセリフが脳内をよぎった

今日は案外いけるかもしれない

私は、前向きな気持ちで1時限目の用意を始めた

普段ならこの時点でもう何かしらされている

物を隠されたり、陰口を聞こえるようにわざと言ってきたり

でも今日は何もされてない

睨まれたりは多少されているけど

第一、もはや恒例行事となっていた上靴隠しに遭っていない

ちょっとはマシになってる……？

それからも、特に困ったこともなく全ての授業が終わった

あれ…ほんとに何もしてこない

もしかして、向こうが飽きていじめるのやめたとか？

まあ、どっちにしろ今日は私の勝ちだな

よく耐えた、私

後は帰るだけ、楽勝でしょ

今日はもう何も無いよね……！

そんな淡い期待を抱いて帰ろうと靴箱へ向かう

…と、私のところに一枚の紙が入っていた

一気に冷や汗が出てくる

握っていた拳に力が入っていく

そこには、

「体育館裏へ来い」

という殴り書きのメッセージ

行きたくないけど行かなかったらいじめが余計に酷くなるような気がする

その前に、泉さんにメッセ送った方がいいかな……？

…でも仕事で忙しいかもしれないしなぁ

一応送るだけ送っとこ

忙しかったら見ないだけだろうし

そう思い、私は

ラインでメッセージを送ろうとした

その時

「ねぇ、何してるの？」

私をいじめている奴らのリーダー格の声がした

「来るの遅いから、迎えにきちゃった♪」