声の主？*２ ページ9
「………い………ど……だ……」
足を進めるに連れて、どんどん鮮明になっていく謎の声。やはりこちらで当っているようだ。
声がちかくなってきたぞ、とそのままタッタッタと廊下を走ってその声の元まで向かう。そして丁度曲がり角を曲がったところで、
「わぷっ……す、すみませっ」
「うわぁっ？！ ビックリした……って、こんなトコロにいたのかA！」
「衣更先輩！ あれ、なんでここに先輩がむぐっ！？」
誰かの背中にぶつかったと思ったら、その正体は衣更先輩だった。驚いているのも束の間、なぜか頬をむぎゅっと引っ張られる｡
「い、いひゃいれす、しぇんぱい」
「まったく、お前というやつは。今までどこをほっつき歩いてたんだ〜？少しは反省しろよ」
「ふぁい、ふみまへん……」
はぁ、と大袈裟にため息を吐きながら頬を離した衣更先輩を前に、俺は「うう」と唸りながら労るようにヒリヒリする頬を手で擦る。い、痛かった……。
「でも俺にも色々と深いわけが」
「副会長にお前の居場所を聞かれたとき、どれだけしらばっくれるのに苦労したことか」
「言い訳してすんません。お疲れさまです」
あの人をやり過ごすなんて、かなりの達人でないとできない芸当だ。感謝しよう。
「俺のことを呼んでたの、先輩だったんですね」
「だっておまえさ、飲み物を買って戻ったらいなくなってるんだもん。まさか危ない人に着いていったりしてないよな？ お菓子あげるから、とか言われても着いてっちゃダメだぞ」
「俺は子供か」
子供を諭す親のような顔をする衣更先輩に、大丈夫ですよ、と笑いかけてから。
「この学院に危ない人なんていな……いとも言いきれないですね」
ふと脳裏に、カメラを構えて遊木先輩を盗撮するある人物の姿が過ぎったが……。
俺の勘違いだと思いたい。
衣更先輩はそんな俺を見て眉をひそめるが、二度目のため息を吐いてから困ったように笑った。
「ま、今日はすぐに見つかったしいいよ。これからは周りに声をかけてから移動すること。いいな。……ほら、もうぬるくなってるけどやるよ」
「わわっ、と。ありがとうございます、先輩」
軽く投げられたミネラルウォーターのペットボトルをキャッチしながらそう言えば、先輩は仕方ないなと言いたげに苦笑した。
「はいはいどういたしまして。これに懲りて、あまり俺の心配事を増やさないでくれよ？ほんと世話がやけるな」
なぜ嬉しそうなんだ。
あれか、将来の夢は社畜志望ってところか。
そんじゃ持ち場に戻るか、と先頭を歩きだす衣更先輩。俺はその後ろを、一歩出遅れてついていった。
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サラ(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます！！ 後編まで書いてくださりありがとうございます。宜しければパスワードの方教えていただけると幸いです。 (5月8日 15時) (
レス) id: 57059d652a (このIDを非表示/違反報告)
koeno(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！素敵なお話をありがとうございました！もし続編を書かれるのであればぜひパスワードを教えていただきたいですー！！ (4月7日 0時) (レス) @page49 id: 3ec6efc790 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続編みたいです！ (4月2日 17時) (レス) @page49 id: 54e2cad7a6 (このIDを非表示/違反報告)
0nm3264922j626v(プロフ) - 続編めっちゃ読みたいです！是非！お願いします！ (4月1日 20時) (レス) id: 203b2c7fc8 (このIDを非表示/違反報告)
ただのヲタク(プロフ) - 続編読みたいです！すごく楽しく読ませてもらいました！ (3月30日 9時) (レス) @page49 id: 9a68619e2b (このIDを非表示/違反報告)
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