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声の主*1 ページ8

「ハンカチありがとうございました」

AV室に戻った俺は、守沢先輩に袋を差し出した。

「あぁ、すっかり忘れていた。君にあげるつもりで渡していたものだから」

「不用心ですよ。ハンカチ1枚と言えど、悪い使い道はたくさんあるんですからね」

「そんな大袈裟な……」

「俺が生き証人です。ストーカーの話、教えてあげましょうか。ははっ、鳥肌モノですよ」

古くなったハンカチをゴミに出したら……という話なのだが。思い出すだけで胸糞悪い。金とんぞゴラァ!!!と怒り散らかした記憶がある。

「なんかすまん」

大変だったんだな、という先輩の視線。
そうです、過去の俺、なかなかに大変だったんですよ、と黙って頷いておく。ま、今になっちゃあ笑い話だけどな。

「わかってもらえたなら何より……ん?」

ふと、動きを止める。
今なにか、遠くで声がしたような……。

「? どうした。どこか痛むのか? それともお腹が減ったか?すまん、今は食べられる物を持ち合わせていないんだ」

「しっ。静かに」

「う、うむ」

……………………あ。また聞こえた。

「先輩、なんか声がしません?」
「声?いや、俺は聞こえないが……」

AV室には、俺と守沢先輩の二人しかいない(他のみんなは荷物を運んでいる)。つまり俺たち以外の声なんて聞こるはずがないんだけど。

「なんか名前を呼ばれたような気がして……」

「な、名前って……!? もしかしてオバ」

「先輩。お口にチャック」

俺が自分の口に人差し指を添えると、先輩は事態が飲み込めない様子を見せながらも自分の口を両手で押さえた。よしよし、いいコです。

黙ったところで、俺はスッと目を閉じて辺りの音に耳を澄ませる。絶対に聞こえてきたはずなんだ。


「…………やっぱり!こっちから俺を呼ぶ声がします!」


あっちか、と聞こえてきた方向へ足を向かわせる。

「A!?いったいどこに、」

「わかりませんけど呼ばれてるんで行ってきますね。あっ、ハンカチはきちんとお返ししましたよ!」

敬礼してから、顔面を蒼白にしながら目にうっすらと涙を溜めている先輩を残してそそくさと退散する。

えっと、確か声がしたのはあっちからかな?
とりあえず自分の耳を頼りに行ってみよう!

声の主?*2→←噂の彼女は*1



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koeno(プロフ) - めっちゃ面白かったです!!素敵なお話をありがとうございました!もし続編を書かれるのであればぜひパスワードを教えていただきたいですー!! (4月7日 0時) (レス) @page49 id: 3ec6efc790 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続編みたいです! (4月2日 17時) (レス) @page49 id: 54e2cad7a6 (このIDを非表示/違反報告)
0nm3264922j626v(プロフ) - 続編めっちゃ読みたいです!是非!お願いします! (4月1日 20時) (レス) id: 203b2c7fc8 (このIDを非表示/違反報告)
ただのヲタク(プロフ) - 続編読みたいです!すごく楽しく読ませてもらいました! (3月30日 9時) (レス) @page49 id: 9a68619e2b (このIDを非表示/違反報告)
ダイ - もう、めちゃくちゃ面白かったです!受験勉強後回しにして(?)2日で読み終わりました!ぜひ!続編読ませて欲しいです! (2月26日 23時) (レス) @page49 id: aa1dedb486 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:苺バニラ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年1月13日 14時

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