本性*１ ページ27
「悪いな。手伝わせちまって」
「いえ、気にしないでください！」
しばらくして。痛みのせいか、俯きながら申し訳なさそうに謝る黒髪の先輩。表情は見えないけれど声色からして相当辛そうだ。
そんなことを考えながら、ふと視線を前に向ける。すっかり人気がなくなった廊下はしんっと静まり返っていた。
「……あの、先輩。ここって本当に近道、なんですか？ なんか変じゃないですか？」
全然保健室つかないし。というか、そもそも人がいないし。
「あっもしかして迷子になっちゃたとか？とりあえず元の道に戻ります？」
心配になって声をかけるも、返事は返ってこない。
不思議に思って二人を見ると、何を思ったのか、ぴたりと立ち止まってしまった。そして。
「そろそろいいか」
金髪の先輩がぼそりと呟く。
え？と聞き返す間もなく、今度は黒髪の先輩が口を開いた。
「だな。演技すんの疲れたし」
「ん？演技って……」
いまいち状況が飲み込めずに首を傾げると、二人は同時にこちらを向き、ニヤリと笑った。
あれ。さっきまで痛そうにしてたんじゃ。
そんな疑問を抱いたときだった。ぐったりしていたはずの黒髪の先輩の手が、俺の首へと伸びてきた。
「──っ？！」
「大人しくしろ」
ぐっと後ろから首に回された腕に力が込められ、首を絞められる形になる。書類の束が床に落ちて無惨にも散らばった。
「な、ん、で……ッ」
息苦しさに耐えながら、なんとか声を絞り出す。
「あんたを連れてくるよう頼まれてさぁ。いやーお人好しで助かったわ」
金髪の先輩が笑いながら言う。つまり騙されてたってこと？！
「きょ、はくじょう、は……おまえら、っ、かよ！」
「脅迫状？ 何それ」
「この期に、及んで！……ぐっ、う！」
苦しい。息ができない……！
酸素を求めて口を開くが、うまく呼吸ができず、肺が悲鳴を上げていた。
もうだめだ。意識が、遠のいていく……。
──そのときだった。
「ちいとばかし、オイタが過ぎるんじゃないかえ？」
どこからか声がした。それと同時に、ふっと腕の力が抜ける。
「ごほっ、げほ、はぁ、はっ、ぁ……」
やっと解放された喉から必死に空気を吸い込む。酸欠状態だった脳に空気が行き渡り、少しずつ思考がクリアになっていった。
あの声、あの喋り方。まさか……。
「零、先輩」
声のした方へ顔をむけようとした刹那。
なぜか目の前が何かに覆われて真っ暗になった。
「えっ、ちょっ、なに？！見えない！」
「日々樹くん、深海くん。頼むぞい」
「えっ二人もいるの？！」
そんなことを言っていたら今度は耳栓のようなものを施された。ちょ、ちょっと！
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yukki(プロフ) - 続けてくださって嬉しい限りです！これからも応援しながら作者様の作品を読ませていただきます！！ (2020年1月11日 23時) (
レス) id: c7ca82405e (このIDを非表示/違反報告)
すみぃ(プロフ) - 続けて下さってほんとに嬉しいです！！pixivあんまり詳しくなくて作者様の作品見れるか不安なんですけど勉強します！！これからも影ながら応援しております！頑張ってください！ (2020年1月11日 19時) (レス) id: f77c46eafb (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - 作者様の書き方がとても好きですし、凄く読みやすいと感じています。なので、占いツクールでの活動を続けるという決断をなされた事が、凄く嬉しいです。最後になりましたが、更新、楽しみにしながら気長に待ってます。 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - こんにちは。突然ですが、コメント失礼します。占いツクールでの作品の書き方ですが、台本書きでは無い他の作者様も大勢いますし、現に私も台本書きはしていません。書き方は作者様の自由なので、台本書きでも、台本書きじゃなくても、どちらでもいいと思います。私は、 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
Tatutatu(プロフ) - この作品とても好きです！続ける決断をなさってくれてとても嬉しいです……！ (2020年1月11日 10時) (レス) id: b586c3b914 (このIDを非表示/違反報告)
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