道化師の憤懣*1(渉side) ページ28
魔王陛下──零の命令を受け、Aくんに目隠しと耳栓を施す。
零はそれを確認すると。
「Aくんをどこに連れ去ろうとしていたのか、詳しく聞かせてもらおうか」
冷徹な声で二人に問いかけた。
いつもは、我輩おじいちゃんじゃから〜怖いの苦手〜とカワイコぶっているのに。
「は、離せよ!!くそっ、なんなんだよお前!」
「あばれないでください。『おうじょうぎわ』がわるいですよ」
奏汰はAくんを締め上げていた黒髪の彼の腕を捻りあげながら、やれやれといった様子でため息を吐いた。見た目に反して肉体言語派ですよねぇ。その証拠に、いつでもやるぞ、と手刀の構えだ。
一方、もう一人の彼はというと。
「さ、3奇人?!お前らがどうして……!どちらにせよ、こんなことをしてタダで済むと思うなよ……ッ!」
そう言って悔しそうに歯噛みしていた。
「ほう、威勢がいいのう。この状況下においてもまだそんな口がきけるとは。感心、感心」
言いながら、零はAくんを守るように自身の腕の中に抱き寄せた。
ちなみに。まあ当然というべきか、何が起きているのか理解できていないAくんは「何なに!誰!変態?!いい匂いの変態だ?!」などと騒ぎ立てていた。
「変態ですって」
「でも、いいにおいらしいです」
「ひどい言われようじゃのう……」
わざとらしく、とほほ、なんて言っちゃって。
わかってませんねぇ。変態は史上最高の褒め言葉だというのに!
そんなことを話していると。
Aくんを拐おうとしていた彼らが「ふざけやがって!!」と再び声を荒げた。あっ無視しすぎましたかね。
「そうカッカしないでください。貴方たちが何をしようともう手遅れですから」
「な、何を……!」
「あえて陳腐な台詞を言うならば……。貴方は怒らせてはいけなかった相手を、本気で怒らせてしまったんですよ」
にっこりと笑って告げれば、彼らは哀れなほどびくりと体を震わせた。
まるで魂をとられたように動かない──いえ、動けない、と言ったほうが正しい表現でしょうか。馬鹿なことをしなければ、こんな目に遭わなかったのに……。
(愚かで、哀れで、滑稽な方々。自ら進んで地獄に落ちたのですから、もう何も言うことはありませんね)
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yukki(プロフ) - 続けてくださって嬉しい限りです!これからも応援しながら作者様の作品を読ませていただきます!! (2020年1月11日 23時) (レス) id: c7ca82405e (このIDを非表示/違反報告)
すみぃ(プロフ) - 続けて下さってほんとに嬉しいです!!pixivあんまり詳しくなくて作者様の作品見れるか不安なんですけど勉強します!!これからも影ながら応援しております!頑張ってください! (2020年1月11日 19時) (レス) id: f77c46eafb (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - 作者様の書き方がとても好きですし、凄く読みやすいと感じています。なので、占いツクールでの活動を続けるという決断をなされた事が、凄く嬉しいです。最後になりましたが、更新、楽しみにしながら気長に待ってます。 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - こんにちは。突然ですが、コメント失礼します。占いツクールでの作品の書き方ですが、台本書きでは無い他の作者様も大勢いますし、現に私も台本書きはしていません。書き方は作者様の自由なので、台本書きでも、台本書きじゃなくても、どちらでもいいと思います。私は、 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
Tatutatu(プロフ) - この作品とても好きです!続ける決断をなさってくれてとても嬉しいです……! (2020年1月11日 10時) (レス) id: b586c3b914 (このIDを非表示/違反報告)
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