火蓋*1 ページ2
周りの歓声が耳に痛い。人が多くて頭がクラクラする。
けれど──そんなこと忘れてしまうほどの高揚感だった。スピーカーから流れる重低音が心臓を囃し立て、身体中の血が沸騰したんじゃないかって錯覚しそうなほど熱が上がってくる。
目の前で行われているUNDEADと紅月の対バンライブは、それだけ圧巻だった。
会場の熱量も半端じゃない。こんなにワクワクして、ドキドキして、心臓をギュッて鷲掴みにされるみたいなライブ、なかなかお目にかかれないだろう。ウルトラスーパーレア。星5を3枚抜きするくらいレア。これは、本当、なかなかに。
(まじで!! まじでなんで見れてんだよ!!)
お か し い だ ろ!
本来なら紅月がトップバッターだったはずだ。
それなのに、舞台上に現れたのは零先輩率いるUNDEADで。ま、当然フロアが沸いたよね。
キャーって。俺も訳分からずキャーってしたい。……いやした。したな。なんでいるんだキャーって。うん。
「なんでだ!」
堪忍して!一応ここの見張りを頼まれてるんだから、これじゃ怒られるよ俺が!!!
〜遡ること、3日前〜
「今週末、予定は空いているか?」
放課後。蓮巳先輩に呼び出された。
生徒会室で先輩と対面した途端そう説明もなしに言われたもんだから。
「暇ですけど……えっもしやデートのおさそ」
「違う」
「ですよね」
知ってた。少しちょけただけです。
「その日、我が校で開催されるS1に俺たち紅月も出場する予定なのだが、些か問題があってな」
「と、言いますと?」
「人員不足だ」
「わぁお……」
なんて端的かつ、わかりやすい説明なんだろうか。
「ドリフェスはライブの中でもランクが高い。ファンのみならず、テレビ局や雑誌記者もこぞって訪れてくる。そんなときに不祥事が起きれば──」
言われて、ふむ、と想像してみる。
不祥事を面白おかしく編集するテレビ局。
美味しいネタだと騒動を大きくする雑誌記者の姿。
そして巻き添えを食らうファンたち。
ついに暴動が起きて、今までキラキラしていた夢ノ咲は某世紀末救世主伝説と化し、暴力と略奪が蔓延り──。
「みんな頭はモヒカンに?」
「……貴様、何もわかっていないな」
ため息をついた先輩は、どしがたい、と呟いた。
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yukki(プロフ) - 続けてくださって嬉しい限りです!これからも応援しながら作者様の作品を読ませていただきます!! (2020年1月11日 23時) (レス) id: c7ca82405e (このIDを非表示/違反報告)
すみぃ(プロフ) - 続けて下さってほんとに嬉しいです!!pixivあんまり詳しくなくて作者様の作品見れるか不安なんですけど勉強します!!これからも影ながら応援しております!頑張ってください! (2020年1月11日 19時) (レス) id: f77c46eafb (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - 作者様の書き方がとても好きですし、凄く読みやすいと感じています。なので、占いツクールでの活動を続けるという決断をなされた事が、凄く嬉しいです。最後になりましたが、更新、楽しみにしながら気長に待ってます。 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - こんにちは。突然ですが、コメント失礼します。占いツクールでの作品の書き方ですが、台本書きでは無い他の作者様も大勢いますし、現に私も台本書きはしていません。書き方は作者様の自由なので、台本書きでも、台本書きじゃなくても、どちらでもいいと思います。私は、 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
Tatutatu(プロフ) - この作品とても好きです!続ける決断をなさってくれてとても嬉しいです……! (2020年1月11日 10時) (レス) id: b586c3b914 (このIDを非表示/違反報告)
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