追憶＊魔王の権謀術数*２(Noside) ページ37
「ようやく合点がいったわい。それで深海くんは巨大な水鉄砲を持っていたんじゃな」
奏汰の手に握られていた、普通の水鉄砲の二倍はする代物を見ながら言う。
「威力も凄まじいものなんじゃろうが……。ちとAくんには無理がありそうじゃのう。小柄な子じゃし、追っ払う武器どころか足枷になってしまうやもしれん」
「あしかせ……」
優しく説き伏せる零に、奏汰は眉を潜めて「じゃあ、これはだめですね」と水鉄砲を床に落とした。
「たばすこをいれて『め』をねらえば、いちげきひっさつになるとおもったんですけど」
「荒っぽいのう」
「いえ、それほどでも」
「褒めとらんぞい」
顔色ひとつ変えないところが怖い。敵に回さんとこ。
「Aくんも厄介な連中に目を付けられたもんじゃ。天祥院くんの世直しで『そういう連中』は粗方一掃されたが……その残留に目をつけられるとは」
やれやれと肩をすくめる零。
ちなみに。一掃とは言わずもがな退学処分のことである。中には海外へ飛ばされた生徒もいるとかいないとか。
そんな物騒な話題には触れず、奏汰は珍しく凛とした表情で口を開く。
「ぼくはあのこのみかたです。『にゅうどうかじか』さんの『かぞく』ですし、なにより、ぷかぷかしてくれたので」
「……そうじゃな。Aくんは良い子じゃよ、本当に」
「はい。だかられい、きょうりょくしてください」
奏汰の言葉に、零は一瞬だけ睫毛を伏せた。
それを目敏く見つけた奏汰が彼の顔を覗き込むようにして畳み掛ける。
「ちあきはいま『じぶんのゆめ』をかなえるためにがんばっています。まきこむわけにはいきません。ちあきのゆめを『じゃま』したくないんです」
必死にお願いする奏汰を横目に、じっと考え込む零。その心は現実と理想で揺れていた。
(今は次期に来るであろう戦乱の準備がある。さて、どうしたものか)
まさに板挟み。
本心を言えば助けたいが、そちらにばかり手をとられるわけにはいかない。夢ノ咲の未来がかかっているのだから。そう思い悩んでいると。
「ぼくはAの『えがお』がすきなんです」
「笑顔？」
「うみみたいに『きれい』で、やさしくて、あたたかくて……。れいは、どうですか」
脳裏に浮かんだのは、『れーい先輩！』と太陽のように眩しく笑うAだった。
そうなっては、もうだめだ。答えなんて出ているようなものだ。
「……そうじゃな。我輩も、あの子の笑顔が好きじゃよ
誰に言うわけでもなく呟き、目を優しげに細める。
「あの笑顔が消え去ってしまうのは惜しい。我輩でよければ協力させてもらおう」
追憶＊魔王の権謀術数*３(Noside)→←追憶＊神様の阿鼻叫喚*１(Noside)
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yukki(プロフ) - 続けてくださって嬉しい限りです！これからも応援しながら作者様の作品を読ませていただきます！！ (2020年1月11日 23時) (
レス) id: c7ca82405e (このIDを非表示/違反報告)
すみぃ(プロフ) - 続けて下さってほんとに嬉しいです！！pixivあんまり詳しくなくて作者様の作品見れるか不安なんですけど勉強します！！これからも影ながら応援しております！頑張ってください！ (2020年1月11日 19時) (レス) id: f77c46eafb (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - 作者様の書き方がとても好きですし、凄く読みやすいと感じています。なので、占いツクールでの活動を続けるという決断をなされた事が、凄く嬉しいです。最後になりましたが、更新、楽しみにしながら気長に待ってます。 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - こんにちは。突然ですが、コメント失礼します。占いツクールでの作品の書き方ですが、台本書きでは無い他の作者様も大勢いますし、現に私も台本書きはしていません。書き方は作者様の自由なので、台本書きでも、台本書きじゃなくても、どちらでもいいと思います。私は、 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
Tatutatu(プロフ) - この作品とても好きです！続ける決断をなさってくれてとても嬉しいです……！ (2020年1月11日 10時) (レス) id: b586c3b914 (このIDを非表示/違反報告)
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