【BL】【仮面ライダー】冗談も程々にしろ！【短編集】

物足りない(凌×貴) ページ2

接吻だけじゃ全然物足りないって、
それを言ってみたら、
貴虎が凄く照れてくれたってだけの話。




「貴虎、キスしy「やらん」ひど…」
二人だけの、二人の為だけの部屋。
そこでは凌馬と貴虎が晩酌を楽しんでいた。

前日、丁度空いた新しめのアパートの一室を借りた。
家を増築するのも面倒であり、更には貴虎には光実がいる。光実がいるのに夜な夜な…となるとかなり気まずいので、借りることになったのだ。
ここならいくらでも貴虎と楽しめると心を弾ませていた凌馬だったが、中々行為に発展ができない。

「いいじゃないか、いつもしてるだろう」
「……」
「つまらない男だよねぇ」
はぁ、と呆れる。
つまらない、とは言うけど嫌い、という訳ではない。
むしろ好きである。意外とそんなものだ。
凌馬の中での「つまらない」は好きと類義語のような関係である。
「もしかしてスリルが無いから嫌なのかい？なら窓全開にして声が聞こえるように」
「違う」
これもまた意外なものだ。
凌馬が冗談でからかうと、いつもなら少し声を上げ、凌馬が怖い怖いと両腕を擦るのが日常茶飯事であったが、今回は違った。

顔を真っ赤にして、小さく呟いた。

「…りょ、凌馬と、どう接していいか、まだ…」

この顔の赤さは、今飲んでいるビールのせいではない。
確実に照れからきている。

「そんなの、普通だよ。ここでも、どこでも、僕らは僕だし」
その言葉を聞くと、貴虎は微笑んで、凌馬に抱きついた。
「…っ！……ふふ、中々君もやるようになったじゃないか」
貴虎は目を逸らす。
照れ隠しになっていない照れ隠しである。
「…キス、するならしてくれ」
「じゃあ遠慮なく」
唇を重ねる。
徐々に深くなる甘さで、二人は離れられなくなる。
唾液が絡む。
息が苦しい。
貴虎は凌馬の胸を軽く叩いた。

「っ、はぁ…はぁ…」
いつもより息を切らす貴虎に、凌馬は声を掛けた。
「ね、キスだけじゃ物足らないよ」
ビクッ、と貴虎は反応する。
「……全部やりたいって言っているのか？」
「そうだが…何か問題でも」

体がゆでダコのように沸騰する。
脳と体が全く違う動きをする。
「ぁ、……」
堪えても、衝動は押さえられない。
少し、ぶっきらぼうに言う。



「……好きにしろ」

許諾の詞を貰った凌馬は、貴虎をベッドに押し倒す。

「優しくするよ」

その夜は、低く、甘い嬌声が部屋だけ響いた。
勿論、その声は凌馬のスマホのデータに録音されたようだ…。

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