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彼女の内なるもう一人が荒ぶっている。





こういう女性は初めてで、どう接したら良いか分からない。

どうすれば良いのか、隣から流れて来る感情を受け流しながら考える。









その時――









「やぁ、A君」









声が掛かった方を向くと、笑顔の太宰さんが手を振っていた。





『太宰さん』



「A君の、お知り合い……なんですの?」



(うわっ! 何この男っ!)





心の中でドン引きする笹田さんは、必死に笑顔を作る。





『この人はバイト先の――』





「美しい人。お逢い出来て光栄です」





太宰さんはいつの間にか笹田さんの前に立ち、自然な動きで彼女の手を取る。

その瞬間、俺を掴む笹田さんの力が強まった。





「まるで鈴蘭の様に可憐で純粋な人、どうか私と心中して下さいませんか?」



「……はい?」



(この人何云ってんのっ!? 変人? 変質者? つーか何ちゃっかり手握ってんのよもうっ!)





戸惑いを通り越して軽蔑、拒絶の言葉が飛んで来る。



好みのタイプでないだけで、こんなにも罵声を浴びるのか。





『……太宰さん、もうその辺で』



「いやぁ残念。漸く運命の美女と出会えたと思ったのに〜」



「お、面白い方ですわねぇ……」



(あぁ最悪、A君との逢引が台無しよ)









「ところでA君? これは夕食の材料?」









籠の中を覗く太宰さんが尋ねて来た。









『そうですけど』





「もし良ければ、今夜君の家(・・・)にお邪魔したいのだけれど」





『家にですか?』





(な、何ですってっ!? A君の家っ!?)









突然の申し出に太宰さんを見る。





すると、軽く目で合図が送られた。









――あぁ、成程。



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ソルト(プロフ) - この作品にてねこぱふぇさんの作品を全て読み終わりました。どの作品も面白く1日で読み終わってしまいました…これから2週目に入ります。今後のご活躍を期待させていただきます。 (2019年6月14日 0時) (レス) id: 61b043fd1c (このIDを非表示/違反報告)
鶴媛(プロフ) - ネコぱふぇさん» 弟君の幼女化ありがとうございました!!弟君シリーズすごく好きです!!これからも応援しています! (2019年4月30日 21時) (レス) id: 3faee80352 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのごん子 - 獄都事変とコラボしてガッツポーズしたのは私だけじゃないはず (2019年4月29日 21時) (レス) id: 1eba992f2c (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 大阪さん» すみません。バチカン奇跡調査官は詳しくないです。 (2019年4月29日 10時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
大阪 - リクエスト、まだ大丈夫でしょうか?バチカン奇跡調査官とのコラボがみたいです… (2019年4月29日 5時) (レス) id: 513b666ef4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2019年3月24日 23時

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