09：痛み ページ11
.
「グサッとやっちゃったねぇ……これからはいつも以上に気をつけなさいね」
『はい……ありがとうございます』
保健室の先生に手当てをしてもらって部室に戻る。
……入りたくない。けどまぁそんなわけにもいかないか。
憂鬱になりながら入ると、部室に残っているのは隆と姫治さんだけだった。
私を見るなり、涙を流しながら歩み寄ってくる。
「ごめんなさい……まさか雅火さんに怪我を負わせちゃうと思わなくて……！！」
でしょうね。自分が怪我する予定でしたもんね。
でも絶対痛いじゃない。そこまでして皆に心配してもらいたい？私を悪者にしたい？
思わず溜息をつくと隆が彼女を庇うように訴えてきた。
「A、許してやってくれないか。こんなに泣きながら謝ってるんだから」
泣いてる？嘘泣きじゃない。
涙を見せてるからって本気で謝ってるとは限らないんだから。
それにその言い方、まるで嫌なヤツみたいじゃん。やめてよ。
『…許さないなんて、一言も言ってないよ隆。姫治さんも顔あげて？私怒ってないからさ』
別に怒ってない。呆れてるだけ。
それでもいつも通りの私でいくと決めたからには思いやりの心は忘れてはいけない。
これが思いやりの心かは知らないけど。
すると彼女は顔をあげ、何故かにっこり笑いかけてきた。
「……そっか！じゃあタカちゃん、校門で待ってるね！」
マジですかこの子。やっぱり謝る気は微塵もなかったのね。
心の中でまた溜息をつくと、私の横を通る姫治さんがそっと呟いた。
「ほんっと、ウザ」
……私、ほぼ君のせいで怪我したんだけどなぁ。
怪我を負わせられた挙句にウザいって酷くない？
『じゃあ、私も帰るから』
「…また今日もマイキーに会うのか」
『別に、隆にいちいち報告しないでもいいじゃない』
マイキー君と会ったら都合の悪いことでもあるの？私がどこで何しようと勝手でしょ？
「心配なんだよ、お前が……」
………今更そんなこと言わないでよ隆。なら振らなきゃ良かったじゃん。
そんなに心配してくれるなら、気になるなら。振らなきゃ良かったのに。
……降って欲しくなかったよ、私は。
君のことが、大好きだったから。
『いいんだよ、もう気にしないで。元カノのことなんか忘れなよ振ったの隆なんだから』
自分の気持ちを全部隠して、笑顔で部室を出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1248人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むぎ(プロフ) - shiroさん» アキちゃんを好いてもらえて嬉しいです…！！続編では大活躍するので是非読んでもらえれば…！ (2021年10月9日 8時) (
レス) id: 817b6fa623 (このIDを非表示/違反報告)
shiro - アキちゃんいい子、好き！ (2021年10月9日 4時) (レス) @page35 id: 2e61a566e8 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - ゆで卵?さん» すみません！！ご迷惑をお掛けしてしまいました…！！続編、投稿したので是非読んでくださると嬉しいです！ (2021年10月8日 21時) (レス) id: 817b6fa623 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - マナさん» アキちゃんは味方ですよ！悪女との会話…の件はネタバレになってしまいますので… (2021年10月8日 21時) (レス) id: 817b6fa623 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - むぎさん» アキちゃんは最後まで主人公の味方で悪女との会話を隠れて盗み聞きしてしまう……のは書きますか？ (2021年10月8日 20時) (レス) id: 27a7acbc37 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むぎ
| 作成日時：2021年9月25日 0時
