【あんスタ】＋Continue

リンカー ページ39

「……あ」

翌日の朝。

教室に入って教科書を取り出した時、昨日月永先輩から貰った楽譜を入れたファイルを見つけた。

昨日なんだかんだで夏目に渡すの忘れてた……まあいいか、緊急性があるものでもないし。

どうせなら今行こうかな。教室にには居たくないし夏目もどうせ地下書庫だろう。

あ、でも出入口付近に紫之君とか真白君とかいるなぁ……

陽キャってなんでドア付近で固まるんだろうね、永遠の疑問。

なんにせよぶつからないように……

「──っわ！」

「おっと……」

フラグだったね。回収回収。

しかもファイルを持ってる方の腕ぶつけちゃって誤って落としてしまった。

「ご、ごめんなさい……」

「いえ、こちらの不注意でもありますしお気になさらず。それよりも何か落とし…て…」

恐らく紫之君達に会いに来ていたんだろう隣のクラスの朱桜君が私の落としたファイルを拾って言葉を詰まらせる。

私のファイル、

月永先輩から貰った楽譜の、

「………………あっ」

気付いた時には遅かった。朱桜君は猜疑の色に染まった目でこちらに視線を送る。

「これ、Leaderの字、ですよね……」

いや、不当な理由で奪ったのではない、話せば理解してくれる。

そう、話せば。

…………話せば。

…話、せば…

「盗んだんじゃねーの？」

後ろでそんな面白がってテキトー事を言う声が聞こえた。

おいやめろ。冗談じゃねーよ。

「盗む…？」

「や、えっと…その、も…貰って…」

うわ駄目だ説明として最悪すぎる。

『盗んだ？ちっげ〜よ貰ったんだよ』と思われかねないって言うか──

「……詳しく説明お願いします」

ああうん思われてますね！！はい詰み！！！

「………っ」

「何故黙ってるんです？」

いやあの、黙ってるんじゃなくてこう…どう言えばいいのかなぁ！？道歩いてたら紙拾ってそれが偶然月永先輩ので拾ったお礼にくれましたとか誰が信じるの！？

まだ『奪った』の方が信憑性あるわ。

はぁ…胃が痛い…泣きそう…

『〜♪〜♪』

不意にKnightsの曲が響いた。

「………Leader？」

朱桜君の携帯の着信音らしい。しかも月永先輩から。

うわあ…嫌な予感しかしない……

「……失礼。───Leader？」

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