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「うーんと、確かこっちだったような……」
『……あで、円堂?』
「ああ、ごめん。」
病院に入ってからというもの、大神の胸騒ぎは収まらず、ずっと上の空だった。円堂の後ろをただ着いてきていたため、立ち止まった円堂の背中に激突する。
「もっと上の階だったのかなぁ……」
困ったように呟いた円堂。直後、目の前の扉が音を立てて開かれた。
「うわッ……!!」
「ッ……お前……」
大神が声がした方に顔を向ければ、扉を開けた豪炎寺と円堂が向き合って驚いている。円堂は慌てた様子で弁明を始めた。
「なんか、俺、心配でさ、悪いと思ったんだけど、なんて言うか……ごめん!」
円堂が頭を下げれば、豪炎寺の視界には後ろに立っていた大神の姿が映る。豪炎寺は円堂と大神を交互に見つめた。
円堂は体勢を変えず、頭を少し上げて入院している患者の名前を見た。大神も円堂の動きに釣られ、その名前を目にする。
『……!!』
───ゴウエンジ ユウカ。
「入院してるのって……」
「妹だ。全く、お前には呆れるよ……入れよ。」
豪炎寺は閉めた扉を開け、円堂に入るよう促す。大神はその場から動けず、名前を見たまま固まっていた。
「……お前も、夕香に会ってくれないか。」
『……え、』
「頼む。」
大神は豪炎寺の視線に耐えきれず、俯きながら早足で円堂の後に続いた。後ろで扉が閉められた音に、大神は息を呑む。
「夕香って言うんだ、もうずっと眠り続けてる。
……話すよ。でなきゃお前、帰らないんだろ。」
豪炎寺は円堂を見てそう言った。
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作者名:鷹羽 | 作成日時:2021年2月19日 3時