さん ページ4
「…あっ!そうだそうだ、あんた零さんの弟だ!」
「はぁ、なに。兄者の事知ってるの」
そう私が言えば不機嫌そうな顔がより不機嫌になる。
なになに、不仲説とか1部のファンのなかで噂とかあった気がするけどそれは本当だったってこと?
まぁ死んだ私には関係ないんだけどね、悲しい事に。
「私生前は零さんのファンでね〜、と言っても他のオタ活?してる子みたいにライブ行ったりとかじゃなくて。テレビで見るとかくらいだけど…まぁ、一方的に知ってるだけだよ。」
「へぇ、……自分の好きなアイドルの弟の顔も覚えてないくらいのおバカさんなんだ…?」
「ち、ちがっ!私死んでから所々記憶が抜けてるみたいで…?」
なにそれ、と言って笑う彼を見て「こうして見るとそっくり」と兄弟なんだなぁと思わされる。
普通に見た目も同じ黒髪、同じ瞳の色なのにどうして気付かなかったんだろう。
なんでぽっかり抜けてたんだろう。
名前さえ今も思い出せない。
「ねぇ、名前なんだっけ……?」
名前なんて知りません!とか言ったら普通に怒られそうだけど、思い出せないので聞いてみる事にする。
はぁ?何言ってんのさ…と言いたげな顔でこちらを見るも「朔間凛月、はいこれで満足〜?」と自己紹介してくれた。
なんだ、別に悪い子じゃないんだね。
初対面の雰囲気からして怖そうだな、と思っていたので、普通に名前を教えてくれた為少し安心する。
案外こういういかにも「人との付き合い面倒臭い」とか「関わってこないでよ」ってタイプの人間は優しかったりする。
まぁ、優しさゆえの防衛本能ってやつかな?
どうせなら、零さんが私のことを見えるように……って方が私的には嬉しいけど。
まぁ凛月さん…?でも見える人が居るって分かっただけでも悪くは無いな。
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作者名:もっち | 作成日時:2022年7月2日 0時