第532Q 微かな光のために ページ32
誠凛は今まで幾度となく絶体絶命の窮地に立たされてきたが、どんな時も決して諦めない心があった。
そしてそれこそがここまで数々の奇跡を起こしてきた。
だが今、その心までも折れようとしていた。
畏怖すら覚える帝王 楽山の強さに。
控え室に戻った各メンバー達、意気消沈に近い状況であった。
「(鼓舞して指示を出さなきゃいけないのに、言葉が出ない…どうすれば…」)
言葉を選んでいたリコだが、
それよりも早く口を開いたのは彼であった。
「諦めるな…！！試合は終わってねぇ…
チャンスは来る…いや！死んでもこじ開けるんだ。」
「日向君…」
その様子に伊月は気づいていた、それは見栄であったことを。
「(…正直半分は強がりだと思う。日向だって実渕の相手で一杯一杯のはずだ。
それでももう半分は本気だ、頼りになるぜ主将！！)」
「けど、とんでもなく開いてる…後半どうやって…」
「私に集めてください。」
口を開きかけた日向よりも、早く声を発したのはAだった。
「あの場の誰よりも点を取ります。
だから、私にボールを集めてください！」
火神と先輩達の負担を少しでも軽減することに加え
唯一まだ闘志が残る存在であったことからリコは彼女を止めることはしなかった。
「もちろん…対1で必ずしも勝てる相手ではありません…シュート落としてしまった時や、カットできなかった時は……」
「あったりまえだ…オレだって、オレだってまだ折れてねぇ！
単純だろーがなんだろーがなりふり構うか…3Pの連発で勝負かけてやる。
落ちちまった時は頼むぜ、リバウンド。あんなゴリラに負けんな！」
日向の視線の先には木吉、彼も無言で首を縦に振った。
「…それだけじゃ足りないわ。もちろんこれからの攻撃の要はAちゃん。日向君の3Pそして、もう1人火神君。」
火神とAを見つめながらリコは祈るように言葉を述べた。
「ここから希望の光が射すかどうかはあなたたちにかかってるわ。
洛山の攻撃の起点は言うまでもなく赤司君よ。
彼を止められないまでもリズムを少しでも狂わせることができれば
何かきっかけを作れるかもしれない。
DF時、伊月君は後半も引き続き黛君のマーク。
そして火神君は赤司君のマークよ、
聞きたいことはAちゃんから聞くのが1番ね。」
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作者名：ざわわ | 作成日時：2019年2月27日 0時
