【黒バス】 君はもう僕のモノだ 【赤司征十郎】

３７　‘さよなら’　（赤司side） ページ38

赤司「どういう、ことですか…？」


咲「私にもわからないの。

昨日、家に帰ってきた所は見かけたのよ。

随分遅かったけど…」



…心当たりがある。

昨日の、公園でのことだ。



咲「なんだか思いつめた様子で…心配して電話かけたのよ。

でも出てくれなくて…」



…どういうことだ？


確かに、昨日は走り去っていった。

だが…家に、いない？



赤司「…本当、なんですか？」


咲「…信じられないなら、家に入ってみるといいわ。

机の上に、書置きが残ってるから。

…あなたへの手紙もあったわ」




―――僕は躊躇わずにドアを開けた。

…鍵はかかっていなかった。




家に上がると、リビングに行き当たった。


テーブルの上に、２枚の紙が置いてあった。



１枚目には、東條さんの言った通りの紙があった。

メモ帳を１枚、引きちぎったような紙切れだ。



‘さよなら’



…小さな、その４文字だけが、残っていた。


そして、もう１枚、小さな紙が置いてあった。



『征くんへ』



手に取り、裏側を見てみた。



『ごめんなさい。 征くんの前から消えます。

　…幸せな思い出をありがとう。

　これからもずっと、征くんが大好きだよ。


　……さよなら』



赤司「…A……」



さよなら――？

どうして………。




もう、会えないのか？ あの、優しい笑顔に――――。




呆然と立ち尽くしていると、東條さんが入ってきて声をかけた。



咲「Aちゃん…あなたのこと、本当に好きだったのよ」



ゆっくりと東條さんに顔を向けた。

切ないような、悲しいような表情をしていた。



咲「あの子が私に話す人は、さつきちゃんか、大輝くんだけだったもの。

でもね、最近は２人のことより、あなたのことをたっくさん話してた。

いつもいつも、‘大好き’、‘ずっと一緒にいたい’って」


赤司「…僕の、ことを……」




…僕といたせいで、いじめにあったりもしたのに。

……黄瀬に、あんなことをされたのに。



手紙にも、書いてあった。





『これからもずっと、征くんが大好きだよ』





…ダメだ。






諦められるわけがない。





僕は意を決して、東條さんに言った。



赤司「Aは、必ず僕が見つけ出します。

…今度こそ、離れません」



深くお辞儀をして、僕は家を出た。




―――A。


僕は、君を離したくない――――――。

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