衣擦れ ページ16
「美味しかったね!また皆で来ようね!絶対だね!」
満足げな日和さんは、お店から出てもルンルンで足取りは軽やか。
そんな日和さんをもう暗いんで危ないっすよぉ〜と追いかけるジュンさん。
………楽しかった、な。
久しぶりに誰かとこんなに楽しくご飯を食べたかもしれない。
「皆さん、明日は早くにEve、Adamとそれぞれ打ち合わせがあるため、各自ご確認ください。星奏館までの車も手配済みですので、早めに休んでくださいね。」
お店から出て真っ暗になっても、てきぱきと明日の予定を確認する、仕事人間茨さん。
スマホと荷物の中の資料を、行ったり来たり。
「………茨はどうするの?…寮、戻らないのかい。」
「自分はもう少しESでやる事がありますので。閣下は先に戻って休まれてください。」
「そう。無理はしないでね。」
「アイアイ!ついでにAさんも、駅まで送ります。」
敬礼をしながら、私に目を向ける。
何から何まで本当に申し訳ないな、と思いつつ、せっかくならとお言葉に甘えることにした。
「ありがとうございます。助かります。」
「いえいえ、自分に出来ることはこれくらいしかありませんから!ではみなさん、お気をつけて。」
「茨もあんま遅くまで仕事しないでくださいね〜。」
夜まで元気いっぱいの3人と別れ、茨さんとタクシーを待つ。
相変わらず液晶からは目を離さないけど、先程よりリラックスしてるのか、ガードレールに少しだけ体重を預けている。
特に会話はなく、夜のにおいと、たまに通る車の走行音が路地に響くだけの時間。
お互いの衣擦れの音さえも聞こえるくらいの静寂。
「………………あの」
「………へっ、は、はい!」
先に口を開いたのは、茨さんだった。
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斉藤ちく(プロフ) - ちびさん» コメントありがとうございます。とても励みになります!細々とですが続けていきたいです。ちび様もご自愛ください! (6月9日 19時) (レス) id: 43e5963b91 (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく拝読しています。展開もドキドキワクワクで…とても楽しみにしております。雨が多く、ジメジメする時期ですが…ご自愛ください。これからも応援しています☆ (6月9日 7時) (レス) id: 190d57c004 (このIDを非表示/違反報告)
斉藤ちく(プロフ) - あめみやさん» コメントありがとうございます。ツンデレ茨からしか摂取できない栄養、ありますよね…。 (6月8日 14時) (レス) id: 771595aedb (このIDを非表示/違反報告)
あめみや(プロフ) - ツンデレな茨もまた良き (6月5日 22時) (レス) @page37 id: a179dcb416 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:斉藤ちく | 作成日時:2023年5月4日 18時