私の前に広がるセカイのその先 ３rd〜緋焔〜

passion〜10 ページ23

「んっ…」



目が覚めると、そこはやはり殺風景なネルフの中だった。



確実に私が始めに倒れた場所とは違う。



私はしっかりとしたベッドの上に横たわっていた。



側を見てみると、私の大好きな人。



私は彼を起こさないように身体をおこし、涙を流していた。



しかし彼はそれに気づいたようで、すぐに目を覚まして私を抱きしめた。



嘘じゃなかった。



神様ありがとう、って言いたくなった。



いつもは信じないようにしている偶然を、信じてよかった、ってそう思った。



「A、会いたかったよ。

君を待ってた。

きっと無事だってね。

…A、…A」



彼は何度も何度も私の名を呼ぶ。



「私も、会いたかった。

生きててよかった。

カヲル君…」



次第に今迄の感情が抑えきれなくなり、私は彼の胸で泣きじゃくった。



全てを忘れられるように、

酷く、子供のように、

ただ、泣きじゃくった。



それをカヲル君は、優しく包み込んだ。



６年前から変わらない、優しい声と瞳で。










＿＿＿＿＿＿＿

作者より。


カヲル君使徒じゃない設定ですが、新劇場版Qのように、エヴァのパイロットで、運命を仕組まれた感じになります。


ちなみに、バッドエンドになりそうです。
ハッピーエンド期待してた人、ごめんなさい。

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