早口熱血漢×武闘派少女ってアリ？【早川充洋】Part4♪ (ページ24)

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124救われた中村Side ページ24

……俺に勝ちめなんてないって思った。あんな顔みせつけられると。

勝算はあった。

だって浦城は俺のこと見てくれてたし、早川は浦城を自分のものにする気がなかったのだから。

あとは、もう少し押せばよかっただけだったのだ。

しかし、俺はそのタイミングを完全に逃していた。

浦城の視線の先には俺もういなかった。

俺の代わりに、俺がどうしても越えられない奴がいた。

極めつけは、浦城のあの顔。

あの恋する顔。愛しい顔。

誰かを欲する顔。

俺に勝ち目があるわけない。

……でも諦めたくなかった。

……微かな希望にかけた。

だから、俺は聞いた。

『な、ないないないない!!何にもなかったよ!!///』

この瞬間、俺の希望は途絶えた。

何かが砕ける音がした。

まるで大切にいていた、ガラスの箱が割れて飛び散る音が……

……嫌だ。

認めない。

きっと何かの間違いだ。

そうだよね、浦城、ううん……泉。

嘘だよね？

『………キスしました…。』

なのに、どうして。

なんで？なんで早川とキスしたの!?

泉は、早川のこと好きになっちゃったの？

俺のことはもう、嫌いになっちゃったの？

あんなに、あんなに、俺のこと見てくれたのに、どうして？

ねぇ、浦城、俺はね、

浦城のこと好きなんだよ………？

両想いだったんだよ。

なのに、どうして今更やめるの？

俺に何が足りないの？

ねぇ、浦城お願い教えて。俺頑張るから。

また好きになってもらえるように頑張るから。

だからお願い………

『………中村に全然足りない物はないよぉ？……充分。

だって……私はそんな中村のこと………大好きだったから………。』

その言葉を聞いた途端、すーっと何かが体の中から消えて……溶けていくようだった。

まるで無理に背負っていた積荷がなくなっていくよう………

浦城の言葉は壊れたガラスの箱の中から、微かに流れてくる音楽のようだった………

でもその音は……声は俺を癒してくれた。

今まであった俺を肯定してくれた。

俺は変に気負いすぎていたのかもしれない。

スタメンになれなくて、学力で敵わなくて、

好きな人をとられたくなくて………焦っていたのかもしれない。

そんな惨めな自分が嫌で、なりたくなくて…だからかもしれない。

ありがとう、浦城。そんな惨めな俺を好きでいてくれて。

俺を救ってくれた浦城に、感謝の意味を込めて……

「…………ありがとう、浦城。」