風屋敷 ページ15
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曖昧な空気の中、裁判は終わりを告げる。妾はどうやら監視対象というものになり、各柱の屋敷を一週間ずつ転々として生活することになった様子。
最初に向かうは、風柱の屋敷。
不「…ッチ!」
本日20回目の舌打ちをし不死川は先頭を歩き、その後を追う。誰よりも鬼を殺す執念を持つ剣士、とは聞いたが案外理性的ではありそうやな。
凛「(その性格を上手く利用して、妾を殺すように仕向ける事は出来んか、なんて…)」
そうしている間に屋敷にたどり着き、不死川は乱暴に扉を開けた。
?「「おかえりなさい!!」」
屋敷の廊下から走って来たのは、先日まで一緒に居た有一郎と無一郎の二人。有一郎は妾を一瞥し、不死川に尋ねた。
ゆ「紅葉は?」
不「紅葉ィ?…んだよそれ」
む「大きな犬。赤とか黄色が混ざってて、目も大きくて黄色くて綺麗な…」
ゆ「もっふもふの狛犬!可愛い狛犬!」
凛「妾の事かえ」
応える様に不死川の前に出てみれば、二人は同時に首を傾けた。…美しな。
む「貴女が紅葉?」
凛「…今まで、騙してすまんな。あの大きな獣は妾の化けた偽りの姿。本来の姿はこうであり、凛月という実名があるんやえ。其方らは好きに呼んで構わんぞ」
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逢魔ヶ刻となり空は、橙と紫の淡い色に変わった。そのような景色を横目に、屋敷の庭で独り芝生に寝そべり明後日の方を見ていた。
む「凛月姉〜、ご飯出来たよ〜」
無一郎が屋敷の方から大声で妾を呼ぶ。立ち上がり、屋敷の中へ入る。
凛「無一郎、説明したでアろう。妾ハ鬼でもあリ鬼を喰うと、鬼しか喰えンノだ」
む「…でも、凛月姉は半分は人間なんでしょ?ちゃんと人のご飯も食べないと、本当に倒れちゃうよ?」
凛「…さりナ」
旦那様からも昔そう言われた。「お前は人でもあるのだから、たまには食べろ」と。だがその時の食事は、全く美味しくはなかった。美味しくないと言うより、何の味も感じられなかったのだ。
それ以降、食べる機会はなかったが。
居間の扉を開ければそこには、既に座っていた不死川と配膳している有一郎が居た。
不「遅せぇ…」
む「凛月姉を呼びに行っただけ」
ゆ「早く食べよう」
台の前に座る。目の前には彩りの料理がある。
「「「いただきます」」」
いい匂いがする、…今なら。無意識に生唾を飲んだ。箸を持ち、主菜を摘んで恐る恐る口に運ぶ。
ゆ「主菜は俺が作ったけどどう?…紅葉?…!///」
む「?あ…///」
凛「………美味し」
おっと、気が緩んでしまった。
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虚(プロフ) - とても良い作品ですね!お気に入り失礼します!好きです(((更新楽しみにしています! (2020年3月7日 0時) (レス) id: 7c0e52b0b9 (このIDを非表示/違反報告)
Graecia devil sardine(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます!前に遊んだスマホアプリに出てきた女の子の話し方を真似てみました。 (2019年11月23日 12時) (レス) id: 890b359372 (このIDを非表示/違反報告)
ユラ - 面白いです!夢主さんの喋り方めっちゃ好き… (2019年11月23日 12時) (レス) id: 98acb8ec1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Graecia devil sa-thin | 作成日時:2019年11月13日 20時