「…できました。」 ページ29
「じゃあはい。」
ニコニコとした笑顔で、ラビは手を出した。
その意図を掴めず、私は首を傾げる。
「はい。」
繰り返すラビ。
さらに深く傾げられる私の首。そろそろ限界だ。
というわけで潔く尋ねることにした。
「何その手。」
「珈琲。」
わぁっ、ラビ今カタカナじゃなくて漢字だった！
じゃなくて、述語というものをですね…。
「珈琲、俺の、淹れてくれよ。」
「なんで！」
多分そういうことだろうと嫌な予感はしていたが、だからと言って「うん！オッケー！」と受け入れない。
だが、少し語気荒く尋ね返せば捨てられている兎のような目をされた。
どんな目かって言うと、とてもつぶらな感じだ。
「化学班には淹れるのに、任務で疲れて帰ってきた俺には淹れてくれないんさ…」
「ぐっ…腹壊しても知んないからね！」
「俺、腹は丈夫だから安心さー」
「せめてフォローしてそこは！」
あぁもう、ラビと話すと調子が狂う。
よく言うと、今まで悩んでたのが馬鹿みたいに思えてくる。吹っ切れてしまう感じ。
何だろう、どうラビを説明すればいいのかな。
ムードメーカー？フレンドリー？…難しいや。
「まずはお湯を沸かして…」
「流石化学班、珈琲作るのもビーカーとか使うんだな。」
「ラビは甘党？それとも苦い方が好き？」
「んー…お任せで頼むさ！」
お任せなんてないんだけど…
とりあえず自分が一番好みのブレンドでいいかな。
ちなみに私は甘党です。
「ほら、お湯沸いたぞ」
「うん、知ってるー」
濡れタオルで熱そうなポットの取っ手を掴み、傍へ移動。
そしてアルコールランプの灯を消した。
まるでインテリアの一つのように綺麗に飾ってある珈琲豆の袋から、一回分の量の珈琲豆を取り出す。
それをコーヒーミルで磨り潰していく。
この時点ですでに珈琲の香ばしい匂いが堪らなくなってくる。
「おー、うまそうな匂いさー！」
「私、エクソシストクビにされたらカフェで働こうと思うんだ。」
「お、おう。」
磨り潰した粉状の珈琲を、ペーパーフィルターがセットされたドリッパーにいれる。
そしてようやくお湯の出番だ。
「まずは蒸らし…と、」
リナリーちゃんに教えてもらったことを脳内で反復しながら、手順を間違えないように慎重にお湯を零す。
サーバーに数滴漏れるのが目安…とても難しい。
20秒待ったら、今度は螺旋を描くようにお湯を注ぐっと…
ふわりと温かくて少し酸っぱいような珈琲の香りが辺りを包んで、自然と人を呼ぶ。
「…できました。」
「いただきます」→←「なんか私が…否定されている気がして。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@元うにゃ(プロフ) - ログ@エネさん» ちょっｗ興奮しすぎじゃき（ 読んでくれてありがとう！少しずつ二人の仲を近づけていきたい！…です（ (2014年5月17日 19時) (
レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
ログ@エネ(プロフ) - おおおおお？ついに？ついに？ラビへの思いに気づくか？ (2014年5月17日 0時) (レス) id: 4873300096 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 夏みかんさん» そんな嬉しいこと言わないでください…マジで感激で泣いちゃいますよ>< 本当にありがとうございます！いつも閲覧頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうかよろしくお願いします！ (2014年5月12日 17時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん - 素晴らしいです。あぁ、めっちゃ好きです！更新頑張って下さい。 (2014年5月12日 15時) (レス) id: 6748ba7e6c (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 羽さん» 楽しませることができて光栄です！更新、頑張らせていただきますね＾＾ (2014年5月3日 23時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年1月12日 15時
