【D.gray-man】 Sorry but Goodbye -Secondo-

「なんか私が…否定されている気がして。」 ページ28

「ま、いいや。で、こんなとこで何してるんさ？」

声がおそらくオクターヴくらい上がったラビに、私は拍子抜けてしまう。
じとり、とラビを睨んでみても首を傾げられるだけで終わってしまった。

「…化学班のお手伝い。」
「お手伝い？」
「…コーヒー、淹れるのとか…」

だんだんと声が小さくなってしまう。
どうしても、さっきの化学班の人たちの反応が頭の中を渦巻いてしまう。気になってしまう。
私ってこんなに心も弱かったっけ、って悲しくなる。
だって体も心も弱いとか、もう何の長所があるんだろって話。

「…で、なんか言われたんさ？」
「ぇ、」

ばっとラビを見上げる。
いつもの人懐こい笑みに、真剣な瞳。
どうしてラビの瞳はいつも、何もかもを見透かしてしまうような色を宿しているんだろう。

「なんで…」
「バレバレさ。Aはよく顔に出すよな。」
「…そう、かな。」

先程みたいに、そっと自分の顔に手を当ててみた。
でも鏡がないから、今自分がどんな顔をしているのかわからない。
ひょっとしたら自分、今すごく不細工なんじゃ…。

「で、なんて言われたんだ？」

自然と俯いてしまっていた顔を、また上げる。
正面にラビの顔がある。ずっと私を見つめている。
なんでだろ、もう。ラビには絶対私、隠し事できない気がする。

「大したこと言われてないんだけど…」
「ん？」
「給仕役なんていらないって言われちゃって…」
「ぅん？」

ラビが詳細を促す。
話していくうち、まるで子供のようにちっちゃいことについてうだうだしていることに気付き、どんどん恥ずかしくなってしまう。
大人になりたい…。

「リナリーちゃんに給仕役、頼まれたんだけど…化学班の人たちに、給仕役なんていらないだろって…。でも、リナリーちゃんがいつも給仕していたことには不満はなさそうだったから…私だけかなって思って。そう考えたら、なんか私が…否定されている気がして。」

ぎゅぅ、と胸元で両手を握る。
もやもやとした感情が自分の中でとぐろを巻いている。
自分にこんな薄暗い感情があったんだな、と驚く。
人間っぽい自分に笑う反面、醜いと落ち込む。

「…でもそれってAが落ち込むことはないさ。」
「…ん、」
「Aは何も悪いことはしてないだろ？誰もがAをパッと見で好きになるなんて有り得ないさ。そういうやつらは好きに言わしとけ。」

な？と優しく頭を撫でてくるラビに、泣きそうになりながらも頷いた。

「…できました。」→←「でも、俺嘘はついてないさ。」

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