「ストレスは大敵だものね。」 ページ19
目が覚めた時、周りには誰もいなかった。
目が少しだけ痛んだけど、心は随分と軽くなっていた。
まるで溜まりに溜まったものが、全部吐き出されたようだ。
「…クロウリーさん、退院したのか…」
隣で寝ていたはずのクロウリーさんは既にいなくて、ベッドも皺ひとつなく綺麗に整えられていた
そういえば最後までクロウリーさんが入院していた理由を聞くことができなかった。
「…暇になっちゃったな。」
完全に話し相手がいなくなってしまって、素直に寂しいなと思った。
ごろり、と寝返りをうってみるが、それでも暇だという感情は消えずにいた。
するとふと、ベッドが不自然に沈んでいたのに気付いた。
そこに触れてみたけど、もう温もりはなかった。
「…ラビ、かな。」
思い当たる一人だけの人物。
名前を呟いてみたけど、それが正解かを答えてくれる人はいない。
私が寝ている間に誰かがここにきて座って私の寝顔を見たとは考えにくい。寧ろ考えたくない。
羞恥プレイ以外の何物でもないからね、それ。
ふぅ、とため息をついて私はベッドから抜けることにした。
ちょっと婦長に、無茶しない程度に外出の許可をとってみようと思う。
怪我も、全治1か月と言われていて、もう2週間は経っているからそろそろ半分は治っている頃だろう。
ちょっとの間出歩いても大丈夫じゃないかな。
「ダメよ。」
ぴしゃりと断られてちょっと泣きそうになった。
「で、でも婦長!ちょっとだけ!ちょっとだけですから!私あの中にずっといると暇で寂しくて死んじゃいます!医者なるもの、死を許容しちゃダメなはずですよね!?」
「退屈や寂しさで死んだ例など聞いたことがないわ。」
「お願いします…本当に暇でしょうがないんです!寝すぎて頭痛がしそうなんです!」
「うるさいから静かにしなさい。」
婦長がこんなにも酷い。
一度抜け出したからかな。だからこんなに扱いが酷いのかな。
ごめんね婦長。でもお願い。14日間も寝て過ごした私にとってもうそろそろ限界なんです。
私は土下座する勢いで頼み込んだ。
「お願いします婦長ッ…無茶しないから、何なら監視とかもつけていいから!本当にちょっと、外の空気吸ってくるだけ…!」
「監視を付けるくらいなら、部屋に軟禁したほうがましよ。」
あ、軟禁って言った。
やっぱりこれ軟禁だ。
軟禁って犯罪になったっけ、違うっけ。
「…しょうがないわねぇ」
くるり、と婦長はようやく私の方を振り向き言った。
「ストレスは大敵だものね。」
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∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - ログ@エネさん» ちょっw興奮しすぎじゃき( 読んでくれてありがとう!少しずつ二人の仲を近づけていきたい!…です( (2014年5月17日 19時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
ログ@エネ(プロフ) - おおおおお?ついに?ついに?ラビへの思いに気づくか? (2014年5月17日 0時) (レス) id: 4873300096 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 夏みかんさん» そんな嬉しいこと言わないでください…マジで感激で泣いちゃいますよ>< 本当にありがとうございます!いつも閲覧頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうかよろしくお願いします! (2014年5月12日 17時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん - 素晴らしいです。あぁ、めっちゃ好きです!更新頑張って下さい。 (2014年5月12日 15時) (レス) id: 6748ba7e6c (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 羽さん» 楽しませることができて光栄です!更新、頑張らせていただきますね^^ (2014年5月3日 23時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年1月12日 15時