「え、行きます!」 ページ20
「そ」
カツ、と靴音を鳴らして床を踏みしめる。
消毒液の匂いがしないなんて、ここは天国かな。
「とぉおお!」
両腕をあげて万歳のポーズをしながら、私は叫んだ。
道行く化学班や探索部隊の人たちが私の声に驚き振り向くけど、そんなの気にしてる暇なんてない。
私は今、最高に機嫌がいい。
2週間も同じ部屋に軟禁されて、ようやく外に出たのだ。
あの暇で暇な暇すぎる時間から解放されるなんて…!
婦長のこと勘違いしてた。人の形をした鬼と思ってたけど人の血流れてたよ!
とりあえずは食堂、と私は「無理をしないように」と釘を刺されたにも関わらずに駆け出した。
***
ふわりと鼻をくすぐるいい匂いはいつも通りで
食堂はやっぱり、いつの時でも人でにぎわっていた。
「あらん?Aちゃん、退院したの?」
「いえ、まだです!」
私の笑顔いっぱいの言葉に危険を察知したのか、ぴしりとジェリーさんの動きが固まる。
ジェリーさんも婦長のことが怖いのかな…あの人、怒ると鬼そのものだもんなぁ。
「大丈夫です。病室に二週間も籠りっきりで死にかけてましたから、ちょっとの間外出許可を貰いました。」
「あらそうなの!何食べる?久しぶりだし、腕によりをかけて作っちゃうわよ!」
「本当ですか!?えっとですね、」
2週間も十分な量を食べていないのだ。
お腹がこれほど助けを求めるのも、初めての事態だ。
私は頭に浮かんだ食べ物を片っ端から言葉にし、苦笑とともに了解と口にしたジェリーさんを待つ。
騒がしい雑音を聞くのは久しぶりで、思わずあたりを見回して少しだけ嬉しくなった。
「あ、」
知っている顔を見かけて、私はジェリーさんに少し離れる旨を伝えて駆けだした。
前と同じようにくたびれて、目の隈いっぱいにした人たち。
前も、ここで会ったんだ。
「リーバーさん!」
「おう、Aか!お前、入院したって聞いたけど大丈夫か?」
「ごらんのとおりピンピンです!まだ入院期間なんですけど、婦長に頼んで外出許可貰いました。」
「あー、婦長って過保護なところあるからね。俺も体弱くてよく医務室に連れてかれるけど、そのたびに怒られちゃうんだぁ…」
ははは、とジョニーさんが笑う。
確かにジョニーさんってひょろひょろしてて危なっかしいしなぁ。
顔色も悪いし、体中骨みたいで、私の食べてるもの半分あげたくなってしまう。
「そうだ、この後予定ないんだったら俺らの仕事覗きに来るか?」
「え、行きます!」
「…サポートしか、じゃないですよ。」→←「ストレスは大敵だものね。」
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∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - ログ@エネさん» ちょっw興奮しすぎじゃき( 読んでくれてありがとう!少しずつ二人の仲を近づけていきたい!…です( (2014年5月17日 19時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
ログ@エネ(プロフ) - おおおおお?ついに?ついに?ラビへの思いに気づくか? (2014年5月17日 0時) (レス) id: 4873300096 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 夏みかんさん» そんな嬉しいこと言わないでください…マジで感激で泣いちゃいますよ>< 本当にありがとうございます!いつも閲覧頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうかよろしくお願いします! (2014年5月12日 17時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん - 素晴らしいです。あぁ、めっちゃ好きです!更新頑張って下さい。 (2014年5月12日 15時) (レス) id: 6748ba7e6c (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 羽さん» 楽しませることができて光栄です!更新、頑張らせていただきますね^^ (2014年5月3日 23時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年1月12日 15時