堪えていたのに。 ページ17
「ごめんなさいって…足引っ張ったことか?」
先ほどから何度も自虐的な言葉を繰り返しているせいか、ラビはどんぴしゃりと私の謝罪の理由を告げた。
苦笑して頷くと、ラビは小さくため息をついた。
「それは、謝ることじゃねーさ。」
「でも、迷惑かけちゃったのはそうでしょ?結局私の力不足が祟ったんだよなぁ…」
「ユウは気にしてねーよ。あんななりだけど、いちいち小さいこと気にしてるような器の小さい男じゃないさ。」
「…でも、」
ぐ、と私が言葉に詰まっていると、懐かしい感触を感じた。
あったかい手が、私の頭の上をぐしゃぐしゃと行ったり来たりする。
髪の毛がぐしゃぐしゃになるのも気にせず、ただ気持ち良くて暖かくて、もっと撫でてほしいとただ素直に身を任せた。
頭を撫でるという、ただその純粋な行動が、どんな言葉よりも深く私の心を抉った。
「無理しすぎなんさ、お前は。もうちょっと本音さらけ出してみろ。」
何よりも真面目な瞳でそういわれて、まるで頭を殴られたようだった。
じわじわと黒い感情が頭の中を支配していって、逆に真っ白に塗りつぶされる感触。
あぁ、もう。
堪えていたのに。
ぽたり、と小さく音を立ててベッドが濡れていく。
真っ白だった表面が、じわりと灰色のような色になっていくのをただ茫然と見つめていた。
「…て」
「ん?」
優しい声。
いつもの彼とは思えないような、慈しむような優しくて強い声。
誰かが私の傍にいてくれて、こんなにも私を想ってくれていることが、
弱っていた心を誰にも見せぬように張っていた壁をいともたやすく、打ち砕いてしまった。
「だって…ッ、私、ようやく、エクソシストになったんだよッ…!?」
ぼろぼろ、とまるで壊れていく破片のように涙が零れ落ちる。
ぎゅうっと布団を握りしめていく。
もう、止まらない。
せき止めていた波があふれ出ていく。
「ずっと、ずっと夢見てたッ…お、お母さんや、おと、さんに、捨てられ、てからッ…し、ししょにっ…っふ、拾われ、って…そっから…っく、ず、ずっとなりたかっ…」
みっともなく泣き叫ぶ私を、ラビはただずっと頭をなでてくれていた。
後ろでクロウリーさんが起きた気配がしたけど、もう気にする余裕もなかった。
「なに、それぇっ…なんで、なんでっ…ったしが何したっ…ってゆーのッ…ぅう、ったしが夢見ちゃ、悪いのかぁああッ…!!ひっく、」
もう何言ってるのか分からない。
ただ力強く彼にしがみつく。
「ッ…うわぁああああん!!」
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∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - ログ@エネさん» ちょっw興奮しすぎじゃき( 読んでくれてありがとう!少しずつ二人の仲を近づけていきたい!…です( (2014年5月17日 19時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
ログ@エネ(プロフ) - おおおおお?ついに?ついに?ラビへの思いに気づくか? (2014年5月17日 0時) (レス) id: 4873300096 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 夏みかんさん» そんな嬉しいこと言わないでください…マジで感激で泣いちゃいますよ>< 本当にありがとうございます!いつも閲覧頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうかよろしくお願いします! (2014年5月12日 17時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん - 素晴らしいです。あぁ、めっちゃ好きです!更新頑張って下さい。 (2014年5月12日 15時) (レス) id: 6748ba7e6c (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 羽さん» 楽しませることができて光栄です!更新、頑張らせていただきますね^^ (2014年5月3日 23時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年1月12日 15時