「本当に、ごめんなさいって」 ページ16
「無ッ………茶苦茶な話さぁ…」
「でしょ?私もそう思う。」
サンドイッチの中にある玉ねぎとトマトを抜きながら私は話す。
それを見たラビは「め!」と子供を怒るように私の頭をたたく。
七つの大罪の暴食を司りそうな寄生型でも、一応食べれるものと食べれないものがあるんだからな。
特に私の好き嫌いは深刻だ。
茹でた魚が嫌い、野菜類はキャベツ、レタス、ホウレン草など僅かな葉っぱ系を除けばほぼすべて嫌い、大体海鮮類は体が受け付けないし(アレルギーじゃないけど)、まずそうに見えるものは頑としても食べない。私の頑固さは、あのクロス師匠が音をあげたほどだ。
聖母ノ柩(グレイブ・オブ・マリア)によって脳傀儡(カルテ・ガルテ)されても食べなかったからね私。
むぅ、と不貞腐れる私を見て、ラビはしょうがないという風に粗切りされた玉ねぎを一本私の手から奪い、口に運ぶ。
うっわぁなんであれ食べれるの。甘いペースでちょっと苦くて酸っぱい気もするなーんか分からないけどシャキシャキしてツーンとする感じのあれを、顔色も変えず。
うわぁ、とドン引きしていると逆にラビに変な顔された。
「本当、Aのイノセンスって異例中の異例さ。」
「ちょっと私が特別みたいな言い方やめてくれるかな。」
ぺろりとサンドイッチを平らげ、どうやって積み上げられたか分からないけど、上にさらに食料が乗っかっているのに原型を崩さないクリームさえ潰れていない美しいケーキに手を伸ばした。
臆することなく手でつかみ、むしゃりとその甘く柔らかいそれに噛みついた。
「そういえば、ラビはもう任務終わったの?」
「ん、さっき帰ってきたばっかだ。」
「へぇ、どうだった?」
「ちょろいさ。まぁ、結局イノセンスなんて見つかんなかったんだけどな。」
ははっ、と軽く笑って見せるラビに、私は俯いた。
いいなぁ、という本音が小さく唇から零れ落ちた。
強いし、イノセンスが手元にあるし…
本当に手の届かない場所に立っているんだ。
「あ、そういえばラビって神田さんと知り合い?」
「あぁ、ユウのコトな。どした?」
「…ユウ?」
「あいつの下の名前。今度呼んでみろよ。面白ぇーぞ。」
「…遠慮しとくよ。」
だってラビの面白いって、危ない方での面白いしか当てはまらないんだもん。
本能が退化していようが、危険を察知しちゃうよ
「じゃあさ、神田さんに伝えといてくれるかな。」
あのあと、神田さんは先行っちゃったから。
「本当に、ごめんなさいって」
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∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - ログ@エネさん» ちょっw興奮しすぎじゃき( 読んでくれてありがとう!少しずつ二人の仲を近づけていきたい!…です( (2014年5月17日 19時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
ログ@エネ(プロフ) - おおおおお?ついに?ついに?ラビへの思いに気づくか? (2014年5月17日 0時) (レス) id: 4873300096 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 夏みかんさん» そんな嬉しいこと言わないでください…マジで感激で泣いちゃいますよ>< 本当にありがとうございます!いつも閲覧頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうかよろしくお願いします! (2014年5月12日 17時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん - 素晴らしいです。あぁ、めっちゃ好きです!更新頑張って下さい。 (2014年5月12日 15時) (レス) id: 6748ba7e6c (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 羽さん» 楽しませることができて光栄です!更新、頑張らせていただきますね^^ (2014年5月3日 23時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年1月12日 15時