旨さで死ねる。 ページ15
「お腹…減ったぁ…」
この真っ白い病室の中で過ごしてきて、もう何日経ったか少し覚えてない。
何もすることのない病室の中で、私は隣にいるクロウリーさんと他愛のない話をしたり、誤魔化すように眠ったりしかしてない。
その間に何度かリナリーちゃん達がお見舞いに来てくれたけど、やっぱりバタバタしているようで長くいてくれなかった。
思ってみたけど、私も結構バタバタしていたよなぁ。
エクソシストになった途端、次の日に任務を言いつけられ、三日ほどかけてようやく帰還して、その次の日にまた神田さんと一緒に任務、そしてまたもや三日ほどかけて帰還…
ようやく落ち着けるのが、エクソシストの証であるイノセンスを奪われたからだなんて、皮肉なものだ。
ところで、それは問題ではない。
問題は、この病室の中にいれば私は餓死してしまうということだ。
今も、お腹がきゅるきゅると切なく鳴き声をあげている。
病院食?らしきものは、食堂から運ばれてきているのだけど…それでも無理があるみたいで、私は必要分の食料を与えられていなかった。
なんでイノセンスはとられたのに、まだこんなに暴食なのだろうと思ったのは最初の日だけだ。
自分が実はイノセンス関係なしに大食いの事実なんて考えたくもない。
隣ですぅすぅと規則正しい寝息をたてるクロウリーさんの気配を感じながら、私は溜息をついてベッドに体を預ける。
このベッドとも、随分仲良くなった。この固さが今ではちょうどいいレベルに。
唐突に外で話し声が聞こえて、私は座り直す。
ドアのほうに視線を向けていると、がちゃりとそれは開いた。
「A!」
「あ…ラビ!」
久しぶりに会えたからか、嬉しさがこみあげて思わず微笑んでしまったのはご愛嬌だ。
お見舞いの食べ物を持ってきたのか、ラビはガラガラとカート一杯に入った食料をもってきた。
「俺とアレンも前入院したことあるからな、アレンも文句言ってたからAも無理だろうと思って持ってきたさ!」
「何あんた天使ですか。」
丁度お腹減ってた頃に食料を大量に持ってきたラビを見て、嬉しくて両手に顔を埋めてしまった。
早く食べたい。
「いろいろ聞いたさ。」
ぎし、とドアの横に重ねてあったパイプ椅子をもってきて、私のベッドの隣に座る。
その瞳は真剣そのものだった。
「…大丈夫か?」
「…んー、駄目かも。」
苦笑しながら私はハンバーガーにかぶりつく。
あぁ…肉汁がたっぷり溢れ出てきてソースと絡み合う。
旨さで死ねる。
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∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - ログ@エネさん» ちょっw興奮しすぎじゃき( 読んでくれてありがとう!少しずつ二人の仲を近づけていきたい!…です( (2014年5月17日 19時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
ログ@エネ(プロフ) - おおおおお?ついに?ついに?ラビへの思いに気づくか? (2014年5月17日 0時) (レス) id: 4873300096 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 夏みかんさん» そんな嬉しいこと言わないでください…マジで感激で泣いちゃいますよ>< 本当にありがとうございます!いつも閲覧頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうかよろしくお願いします! (2014年5月12日 17時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん - 素晴らしいです。あぁ、めっちゃ好きです!更新頑張って下さい。 (2014年5月12日 15時) (レス) id: 6748ba7e6c (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 羽さん» 楽しませることができて光栄です!更新、頑張らせていただきますね^^ (2014年5月3日 23時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年1月12日 15時