【黒○】好きすぎて、どうしよう【赤降】

第十一話 降旗side ページ12

「ここ……？京都にも同じ店あるの？」

征に引っ張られて辿り着いたのはラーメン屋さんだった。俺でも名前を聞いたことあるくらいだから、そこそこ有名なんだろう。というか、ここよく来るし。

「……あるさ、実際に行ったのは一度だけだけどね」

「征でもこーゆー店来るんだね。もっとこう、なんていうか……ナイフとフォークを使うようなお店行くのかと思ってた」

言ってから失礼だったかなと思った。案の定、征はちょっと拗ねたような口調になる。

「……イメージ通りじゃなくて悪かったね。父上にはそういう所に連れていかれるけど、僕はむしろファストフードとかのほうが好きだ」

へえ、意外。なんだか征が近くに感じて嬉しい。でも家はやっぱそういう雰囲気なんだな。

「そっか！変なこと聞いてごめんなー。俺の趣味ばれてんのかと思って動揺しちゃっただけだから気にしないで。ラーメン、大好きだよ」

なんとなく親指をぐっと立ててみた。
征の返事が少し遅れた気がした。

「……別に、気にしてない、から……」

「ならよかった！……お、並んでないラッキー」

ドアを開けかけてから違和感を感じ振り返ると征がぼーっと突っ立っていた。困ったような表情で頬を赤く染めている。

なぜだか、すごく可愛いと思った。

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