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第捌拾参夜・「震え」 ページ42

「僕のせいだっ・・・!! 僕のせいで・・・・!!!!!」


両手で頭を抱えた。

知らぬ間に、がくんと膝から崩れ落ちてしまう。

唇が震え、歯がガチガチと音を立てる。

体もが震え、思考もままならない。


闇属性の魔法は、その攻撃を受けてしまうと

頭の中で酷い過去、悲しい過去・・・記憶が流れ、痛みや感情もそのまま感じてしまう。

そんな、悲しい魔法。


その魔法を、Aが受けてしまった。


Aの過去は、僕では到底考えられないほどの凄惨なものだろう。


そんなものが、Aの大の苦手らしい水の中で頭の中に流れ、

痛みを、感情を、感じる。



「Aが壊れちゃう・・・!!!! どうしよう・・・どうしようどうしようどうしよう!?!?」


息さえも荒くなってしまう。


最善策を考えようとするが、

パニック状態に陥った僕の頭ではただ「どうしよう」と思うくらいしか出来なかった。



そんな時、



不意に低く、聞きなれた声が聞こえてきた。




「流石、マギ。幾度も薬を投与されたのにまだ『自我』を保てるとは・・・・」




震える体で、ゆっくりとその声を主を探すと

その声の主は、ジュダルくんの目の前に立っていた。



「炎・・・兄・・・」


震えた声で、声の主の名を声に出す。

だが、炎兄は聞こえていないのか聞こえないふりをしたのかは分からないが、

こちらを横目で見ることもしなかった。



「最初までは利口だったが・・・Aと暮らし、何かが変わったようだな」

「でも、いいだろう? 早く本気を出してくれ。・・・エテルノ王国に勝つために。

 俺は一刻も早くエテルノ王国を煌帝国のものとしたいんだ」


少し苛立ったような表情をした炎兄。


「い・・・やです・・・!」


そんな炎兄に敬語で否定を返したジュダルくん。


この二人の関係は、一体―――?


「何? 俺に口答えするとは・・・面白いものだ。

 何故そこまで否定する? 戦争前も否定し続けていたが、何をそんなに否定する必要がある?

 もしやAが好きなのか?


 ははっ・・・・




 ―――それは、『演技』か? 『誠』か?」



炎兄は一瞬笑ったあと、無表情へと戻った。


炎兄はくるりとこちらを向き、不敵に笑う。

そして次にエテルノ王国軍と戦っていた煌帝国軍の方向に視線を向けた。


そして、大きく息を吸う。



「――――教えてやろう」



「此奴は・・・・ジュダルは、Aを騙し続けていたんだ」

第捌拾肆夜・「嘘?」→←第捌拾弐夜・「"ある場所"」



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玲琉.(プロフ) - まーちゃんさん» こちらの方も読んでくれたんですか!?ありがとうございます!!番外編は区切りが悪いしよく分からないかもしれませんがこれ一つでendです。曖昧な、よくわからない感じにしたかったので。第参章もお付き合いよろしくお願いします! (2014年6月10日 19時) (レス) id: 7d3c1dd707 (このIDを非表示/違反報告)
まーちゃん - おおおお!番外編も面白そうな・・・!! (2014年6月10日 18時) (レス) id: 90194117f4 (このIDを非表示/違反報告)
紅凛檎(プロフ) - 玲琉.さん» うんっ!元気だったよー!!玲ちゃんもがんばれー!!応援有り難う* (2014年5月11日 8時) (レス) id: 66a5babc27 (このIDを非表示/違反報告)
玲琉.(プロフ) - 紅凛檎さん» 久しぶり!!!元気だった!?会いたかったよー!!*。うんうん!!またお喋りしよう!! 気がついたらもう第参章だよー作者もびっくりだよー←凄く気になるなんて、有難う♪これからも頑張るね!紅凛ちゃんも頑張って! (2014年5月3日 11時) (レス) id: 7d3c1dd707 (このIDを非表示/違反報告)
紅凛檎(プロフ) - 玲ちゃん、お久しぶりです!(´∀`*) 忙しくて中々来れなかったよ〜;また、お喋りしようね♪ 気がついたらもう第参章!?わぁお!早いなぁ!第参章の予告を、見て凄く気になるよ〜!これからも、頑張って!! (2014年5月3日 10時) (レス) id: 66a5babc27 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:玲琉. | 作成日時:2014年3月20日 22時

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