泡沫少女の泡沫ノ恋。―第弐章―【練紅覇】

第肆拾伍夜・「突然の登場」 ページ4

バシィィンッ



乾いた破裂音のような音がフロアに響き渡った。

―これは、紅覇が私の頬を叩いた音。


「いたい･･･」


赤く腫れた頬を右手で抑える。


「う、あ、ごめっ･･･ごめん!! 僕、湿布持ってくるよ･･･!」


おろおろしながら私の前から去ろうとする紅覇。

―そんな紅覇の腕を両手で掴んで足を静止させ、意気揚々と告げた。


「痛かった･･･!! 夢じゃなかった!!!! やった!!紅覇!!夢じゃなかったよ!!」


そのまま紅覇に抱きつきそうな勢いの私。

そんな私に紅覇はただただ慌てていた。


「し、湿布!!持ってくるからぁ!!! 僕からっ、離れて･･･!!!」


紅覇は慌てながら頬を林檎のように真っ赤に染め、一瞬掴む手が緩くなった私の両手から

するりと抜けるとフロアの出口へと走っていった。




しかし紅覇はこのフロアから出ることは出来なかった。


なぜなら、




「―紅玉!?!?」

「ああらお兄様、そんなに慌てて顔真っ赤になさって･･･どうかしましたの?」




フロアの出口には先程まではいなかったはずの紅玉さんが服の袖で口元を覆い、

不思議な笑みを浮かべて紅覇の前に立ちはだかっていたから。


その紅玉さんの後ろからひょこりひょこりと白瑛さんと白龍さんが顔を出していた。


「なっ･･･なんでもない、よ? ただ、湿布を取りに行こうかと･･･思ってぇ、ね?」

「ふふっ、お兄様･･･湿布はここにありますわよぉ?」


紅玉さんはまたもや不思議な笑みを浮かべ、冷や汗をかく紅覇の前で

片手で持っていたらしい湿布をぺらんと見せびらかした。


「お兄様、Aさんから逃げようとしていましたわよねぇ･･･?

　なぜなのかしらぁ〜? それに、何故Aさんの頬が腫れていて涙目にもなっているのぉ?」


不思議な笑みを浮かべながら紅覇に迫る紅玉さんはもう恐ろしいとしか言い様がない。


「も、わ･･･分かったから!! 全部、話すから!!!」


降参したらしい紅覇は「紅玉怖いよ〜･･･」と涙目で私のそばへ帰ってきた。

何この子超可愛い。




―作者の部屋―

やだナニコレなんのドッキリですか。
ランキング入りとか嬉しすぎるんですけど。

昨日発覚して･･･
それはもう放心状態でしたよ。
ああやっと夢が叶いました。

ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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