誰かのものにならないで。 ページ3
※凛月視点。
｢おはよう。A｣
目覚めて一番にするのは、彼女の写真に挨拶することだ。
寝ても覚めても俺の心の中にいるAは、幼馴染みの可愛い可愛い女の子。
俺だけのお姫様。
騎士である俺が、この世で一番守りたい大切なA。
ねぇ、あんたはいつになったら俺の気持ちをわかってくれるの…？
写真の中の彼女は、正面を向いているはずなのに全く目が合わない気がした。
当然だ。彼女が見ているのは俺じゃない。
Aが見ていたのは、写真を撮っていた俺じゃなくてカメラのレンズだったのだから。
そして、写真の中のこの時のAだけじゃなくて…、あんたはいつも俺を見てくれない。
｢好きだよ、大好きだよ｣
この言葉が届かなくても、きっと変わらず永遠に、俺はAが好きだから。
※※※※
『真緒はいつも大変そうだね。この前ちょっと会った時も忙しそうだったし』
久しぶりに二人で会えたのに、ほらすぐそうやって、ま〜くんとはいえ他の男の話。
｢遊びに行ってもいい？｣と聞いたら考える間もなく二つ返事でOKされた彼女の部屋に二人きり。
警戒なんて微塵もしてないAはなんでもないように、俺を部屋に上げる。
幼馴染みとはいえ、年頃の男だって認識すらないのかなぁ。なんて、全く意識されていないことに腹が立つ。
お土産に持ってきた手作りのケーキを机の上に置き、ベッドに腰掛けているAの隣に少し乱暴に座った。
『何して遊ぶ？新作のゲーム買ったけどやる？あ、でも、真緒もやりたいって言ってたなぁ…また今度にしよっか』
｢それ、わざとなの？｣
『え、何…っ！……凛月…？』
ぽかんと、俺に押し倒されたベッドの上で間抜け面を浮かべるAは、可愛いけど憎らしい。
俺の気持ちに気づかないあんたも好きだという気持ちと、気づいてくれないあんたを憎らしく思う気持ちが混ざりあってわけがわからなくなる。
｢好き｣
『それは、私だって好きだよ…？』
｢違うよ！Aの好きは俺とは違うでしょ！｣
『……え』
驚いた顔をしたAの瞳いっぱいに俺の顔がうつっている。
その瞳にずっと俺だけをうつしていてほしい。
俺以外にどこも触れさせないでほしい。
俺だけを愛してほしい。
｢俺の好きは、Aを抱きしめたりキスしたりしたいって意味の好きだよ。ほら、違うでしょ？｣
『っ！退いて』
火事場の馬鹿力というのか俺を突き飛ばしたAは、真っ赤に染まった顔で『ごめん』と呟いた。
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安城(プロフ) - 恋乃さん» コメントありがとうございます！無理のない範囲で更新頑張りますので、またお暇な時にでも読みに来てやってくださると嬉しいですー！ (2021年3月27日 19時) (
レス) id: 6990b31a24 (このIDを非表示/違反報告)
恋乃 - この作品物凄く好きです凛月がどうやって付き合うのか気になります無理せずに頑張って下さい応援しています (2021年3月26日 23時) (レス) id: 0410a23887 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：安城 | 作成日時：2021年3月23日 19時
