《番外編》キスの日なんだって。 ページ13
※時系列は本編とは繋がってないです。
｢今日ってキスの日なんだって｣
と、凛月が言い出した夕暮れの公園。
ちょっと話そうよ。ってメッセが送られてきて、今日は仕事なくて暇なのかな？と思って来てみれば、開口一番凛月はそう私の顔をじっと見つめてきた。
それにドキッとしつつもなんでもない風に取り繕って『知ってるよ』なんて返事をすれば、凛月の片眉がぴくりと動いた。
けれど、次の瞬間には顔に笑みを貼り付け、私の横髪をひと房掬い上げるように手に取ると、それに唇を落とした。
『凛月！？』
驚きとトキメキで素っ頓狂な声を上げてしまった私にクスクスと可笑しそうに笑った凛月は私の髪から名残惜しそうにゆっくり手を離し、今度は私の肩に両手を置いた。
｢俺のせいで真っ赤になっちゃうA可愛い｣
甘い声音に甘い微笑み。
普段の気だるそうな感じは一切なく、夕陽のオレンジに染まる見慣れたはずの公園は私の目には特別にうつった。
だけど ──
｢あー！！！キスしたー！！｣
｢カップルだカップルー！｣
｢ヒュー！ラブラブだ〜！｣
なんて遊んでいた子供たちが私達を指先して騒ぎ出したのを見聞きし、さっきまでの甘い空気は消え去って、凛月は途端に面倒そうな顔で子供達を見下ろした。
その顔は、気の所為ではなく絶対に間違いなく怒っている顔だった。
『り、凛月…！お腹減っちゃった！ご飯食べに行かない？！』
｢…………。ふふっ。もう。色気より食い気なの？しょうがないなぁ｣
笑顔に戻った凛月に心底ほっとしつつ、私は凛月の手を引いて公園を後にしようとしたけれど、凛月がその場から動かず、振り返れば凛月が何やら子供達に話しかけたらしかった。
｢今回はAに免じて許してあげるけど、次はないからね｣
小声だったから何を言ったか私には聞こえず、気になったけれど、正直、子供達に揶揄われたのはかなり恥ずかしかったし、一刻も早くあの場を離れたい気持ちの方が勝り、凛月の手を軽く引っ張る。
『凛月〜？』
｢はいはい。今行くよ〜｣
なんて緩い返事と共に子供達から私に向き直った凛月は、ぎゅっと手を握る力を強めてやっと歩き出し、無事に公園を後にした。
ふと、気になって子供達の方を見ると固まってなんだか暗い表情をしているのが見えて、凛月を見上げると｢Aは気にしなくていいよ。何も｣と優しく諭すように言われた。
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安城(プロフ) - 恋乃さん» コメントありがとうございます！無理のない範囲で更新頑張りますので、またお暇な時にでも読みに来てやってくださると嬉しいですー！ (2021年3月27日 19時) (
レス) id: 6990b31a24 (このIDを非表示/違反報告)
恋乃 - この作品物凄く好きです凛月がどうやって付き合うのか気になります無理せずに頑張って下さい応援しています (2021年3月26日 23時) (レス) id: 0410a23887 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：安城 | 作成日時：2021年3月23日 19時
