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無邪気に笑うAに無理矢理手を引かれ倉庫の入口を抜ければ途端に美味しそうな匂いが鼻をくすぐった。
ここにいるA。呼び出された自分。肩にかけられたタスキと辺りに漂う料理の匂い。
ようやく頭の中で色々なものが噛み合った時だった。
目の前を歩くAが大きく息を吸う。
『せーの!』
「「「「「「「 ハッピーバースデー!! 」」」」」」」
ーーーパンパン!!
「のわッ!?」
響く声と弾けるようなクラッカーの音。
思わずのけぞった平子が目を見開いて、パチパチと瞬きをする。
「な、な、な、なんや!?」
その声と共に辺りを見渡せば、見慣れていたはずのリビングは様々な飾りが施されていた。
紙の輪っかで作られたガーランドが壁やら天井やらから連なっており、割れた窓ガラスには"真子誕生日おめでとう"の文字が貼り付けられている。
その下に小さく書かれた"ハゲ"の字は今は何も言わないでおこう。
ソファと床にはカラフルな風船が転がっており、誰が描いたかわからないヘタクソな似顔絵が壁に貼られている。
とても上手とは言えない飾り付けだった。けれど不思議とじんわり胸に響くものがあった。
そうしてテーブルへと目を向ければ、そこに用意されていたのは大皿に乗った沢山の料理。
唐揚げやポテト等パーティらしいものから、煮魚やおひたし等、昔懐かしいものまでテーブルいっぱい彩り豊かに並んでいる。
とても仮面の軍勢の面々に作れるものではないことはすぐにわかった。
料理の得意な拳西でもきっとここまでは作れないだろうと思う。
誰が用意したのかなんて、考えずとも答えは一つしかなかった。
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でんでん。(プロフ) - 毎日楽しみで大好きです!ご無理なさらず続きを楽しみにお待ちしております!(^^) (9月8日 2時) (レス) @page46 id: f6127465a5 (このIDを非表示/違反報告)
ひなみ - いいところで……!!! (5月17日 1時) (レス) @page46 id: 40e8d62194 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 続きが気になります•••! (2023年4月26日 20時) (レス) @page46 id: c3f7ca38c1 (このIDを非表示/違反報告)
いちか(プロフ) - 大好きです続き読みたいです (2023年4月22日 22時) (レス) @page46 id: e23563eff4 (このIDを非表示/違反報告)
マチリ - 最新話まで読ませていただきました。素敵な作品に出会えてとても感動しております。ご無理なさらずに続きを楽しみにお待ちしております。 (2023年2月25日 0時) (レス) id: 7c2370384d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おもち | 作成日時:2021年5月9日 2時