あなたと生きる世界 -尸魂界編- (ページ6)

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番外編【世界に色が着いた日】5 ページ6

「ーーおかえり。」

お風呂から上がって居間へと通されたAは
嵐が過ぎ去ったかのように放心状態になっていた

奔放な少女に振り回されたのだろうことは、想像がついている

そうなることを予想していたらしい、穏やかに微笑む少年が
今し方いる台所からくるりと振り返ると
少し欠けた器を手に持ち、ちゃぶ台の前で立ち竦むAの目の前に器を置いた

湯気の立っているそれを思わず覗き込めば
トロッとした汁の中に少しの野菜とキノコが浮いている

美味しそうな匂いが鼻をかすめて
Aのお腹がキュルル、と鳴った

「ほら、座って食べり。お腹空いてるんやろ？キミも。」
『キミ、も？』

穏やかに笑う少年に思わず聞き返した

「そ、ボクもや。」

そう言った彼の向こう側から両手に器を持った少女がほんの少し急ぐ様にしてこちらへと向かってくる

「私もお腹ペコペコ～！早く食べよ！」
『・・！』

右側には亜麻色の少女が、左側には銀髪の少年がちゃぶ台の前へと腰を下ろす

ほら、アンタも座って。と見上げられて慌ててAも腰を下ろした

「はーい、手を合わせて～」
『・・？』

2人が手を合わせるのでそれに習って手を合わせる

「いただきまーす！」
「いただきます。」

『・・いた、だきます。』

これは食事の前に言う言葉、なのだろうか。
不思議そうな表情で呟くAに少女が穏やかに微笑む。

はじめて食べる温かいご飯に、鼻の奥がツンと痛んだ

少女から教わったばかりの慣れないお箸で一生懸命に食べるAを見て2人は目を合わせると、もう一度微笑んだ

ご飯も食べ終わり、器を持って立ち上がる少女を見て
Aも慌てて立ち上がる

手伝ってくれる？と、笑う少女にコクコクと頷いて
自分の器と少年の器へと手を伸ばした

「ボクのも？」

僅かに目を見開いた少年はAが手を伸ばした事に驚いた様だった

それでも、ゆるりと笑みを浮かべて笑った

「・・おおきに。」