あなたと生きる世界 -尸魂界編- (ページ42)

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番外編【それは貴方に出会えた日】1 ページ42

美しいその色は、わたしの世界では "異色" だった。

番外編【それは貴方に出会えた日】

任務のため東流魂街・花枯に訪れた金髪の死神が一人、訪れた村の様子を見回っていた

六十二地区というだけあって治安も悪く随分と貧しい村だ
住民たちの着物もボロボロで、村の道には名も知らぬ老人が横たわっている

こんな場所に死神が来ることも珍しいのだろう
村人の恐れる目がその死神をひたすらに追っていた

ーーあァ～・・めんどいわァ。

住民の視線を掻き集めながら、気だるげに歩く猫背の死神の腕では五番隊と書かれた札が揺れている

「なんで副隊長の俺がわざわざこんなトコまで任務やねん、アホかァ。」

他に暇なやつおったやろ。とぶつくさ言いながら歩く彼に
村人はヒィッと怯えながら狭い道を開けた

特に村に用があるわけでもないが、現地の様子も把握しておこうとこの村に立ち寄ったのだ

少し歩くとボロボロの屋根から甘味処の暖簾が見える

「こんなトコであないなモンが流行るかァ？」

そんな胡散臭そうな目を向けた時だった

「それっぽっちで交換出来るわけねえだろうが！！！」

響く声に滲む怒気
何やら住民同士で揉めているらしい

お嬢ちゃん、甘く考えすぎなんじゃねえかい？
そんな声が聞こえて思わず中を覗いた

そこには人間で言う歳の頃は十くらいだろうか
随分と痩せた女の子が小さな手に木の実を乗せて立ちすくんでいた

話の意図が読めず、そっと聞き耳を立てる

『でも、わたし、これしか持ってなくて・・』
「だから、それっぽっちじゃいくらにもならねえよ。諦めな。」

最初から相手にする気など無かったのだろう。
住民は鬱陶しい、とでも言いたげな様子だった

「お前村の外れに住んでるガキだろうが？」

変なチカラ持ってるんだろ？気持ちわリィ。
はやく帰ってくれ！

そう言うとシッシ、と手を払った

今にも泣き出しそうな顔をしてグッと木の実を握りしめている少女

彼女な様子を迷惑そうに見ていた村人だったが、
何か思いついたのだろう。ニヤリと口元を歪めた

「そんなに言うんじゃ仕方ねえ・・
お嬢ちゃん何も持ってねえんだろ？
だったらその髪の毛と交換ってのはどうだ。」

『かみ、のけ・・？』
「ああ、その珍しい色の髪の毛だ。どうせまた伸びるんだから、悪い話じゃねえだろう？」

商人の顔がいやらしく歪む

「で、でもっ、この髪は、大切にしていて・・！」

痩せた少女が慌てて片方の手で銀色の髪を撫でた